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クリスマスは修験道にて

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日本一周時でも1日の平均走行距離60~80kmの怠け者チャリダーの僕がこの2日で200km近くも走ったというのだから今はクタクタに疲れたので、明日は休息日にあてようと思っている。

ではこの2日の走行のことについて書こうと思う。チャチューンサオという町を出て今日の目的地はPrachin Buri プラチンブリという町を目指す。前も書いたがチャチューンサオに着いた時は宿のことなど一切調べておらず出たとこ勝負で何とかなるだろうと思いきや宿探しに大苦戦、泣きそうになりながら地元の人に何回も聞いて3時間かけてやっと宿を見つけることができた。もうあんな苦労はしたくなかった。まだ外国で野宿をする勇気はないので宿には泊まりたいところだけど着いた町で宿がないという状況は考えたくなかった。なので慣れるまではネットで調べて出来れば予約もしておくことにしたのだ。なんだか現代的で旅慣れてない人みたいであまり好ましくもないけど、実際慣れてないんだからしょうがない。宿探し以外にもまだまだ海外旅行スキルは低いし、ネットでも使えるものは使って、多少お金がかかりつつも、まずは安全に旅自体に慣れていくことが先決であろうかと思う。ただしこの方法のデメリットといえば予約してある以上、その場所にたどり着かなければならないというプレッシャーもあるのだ。とりあえず慣れてくるまでは予約までせずとも、この町にはこんな宿があるというピックアップをしておくだけでもラクかなとも思う。慣れてきたらその場で宿探しもしくはキャンプという感じにはしていきたいと思う。

さて走り始めは車線の広い幹線道路。30数km進んで12時ごろPhanom Sarakhamという町に着く。この町での目的は2つ、一つは昼飯を食べること、そしてもう一つは郵便局によることである。郵便局に何の用かというと、いらない荷物を日本に送ってしまうことだった。持ってき過ぎた衣類、大中小ある寝袋3つも、この暑い東南アジアでよっぽど高地などに行かない限り必要ないだろうということで中サイズの寝袋を、付け替えるのが面倒なので単焦点レンズも外すことにした。まだほかにも欲張って持ってきてるものもあるかと思うがひとまずは心持ち少しでも軽くなればと思う。詰める箱は郵便局で買うことができる、100円ほどだった。郵送料は4000円だった、2日ほどの生活費で少し手痛いけどしょっちゅうやることじゃないのでよしとする。一仕事終えて昼飯。ショッピングセンターの隣りでやってる、タイではよくある半野外の食堂。タイのオカンの作るガパオライスとアイスカフェラテはこれでもかってくらい旨かった。

元気満タンでプラチンブリに向けて進む。国道304から左折して国道319へ。すると今までは車ばかりで周りの景色も単調ないかにも幹線道路な道から一転、木々に囲まれ、そこに住む人たちの生活が垣間見えるようなローカル臭漂う道へと変わり、流れる景色がなんとも心地よい。当初荷物の重さに前輪側が小刻みに揺れていたのが、走行3日目にしてかなり安定感を帯びていた。これはさっき荷物を減らしたのもあるし、積み方のバランス、そして何より安定させる自分自身のバランスを身につけてきたのだと思う。さらに対向車線や、僕を追い抜く車から、言葉は分からないけど何かエールのようなものを送ってくれることが多くなった。「なんか変なやつがいるな。」そんな眼差しで見てくる人たちにも、ニカッと笑うと向こうも笑顔で返してくれる。実際どう思われてるのか、もしかしたら冷笑されているかもしれないのだが僕はそんなの関係なく、やっと「自転車で走る」という行為に面白味を感じ始めていたのだ。

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夕暮れが迫る中、ようやくプラチンブリの町に着く。目的の宿の近くで迷ってしまって、ガソリンスタンドの従業員に住所を見せて聞いてみると、スマートフォンでササッと調べ、「アッチ。」と指で示してくれた。僕でさえいまだスマホを持ったことないのに・・・。たっぷり走った91km、宿の門をロードレースのゴールばりに手を高々と挙げてこの日の頑張りを自分で祝ったのだ。

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翌日、今日はクリスマスイブである。といってなにをするでもないけど、仏教国であるタイでも町ではたくさんのクリスマスの飾りつけを見ることができる。大型スーパーの女性店員の頭にはサンタ帽やトナカイの耳飾りがつけられ、町にはイルミネーションがきらめいている。さて、今日は長丁場だ。昨日の走行距離は91kmだったが今日はそれと同じくらい、もしくはさらに長いかもしれない。目指すはSa Kaeoサケーオという町。走り出してすぐ、驚きの光景。なんと向こうにゾウがいるのである。動物園でもない、観光地でもない、町の道をゾウが歩いている。僕は自転車を置いて後ろから写真を撮った。人間と一緒に歩いていたので飼われてるのだろう。タイにはガネーシャというゾウの頭をした神様がいるが、生活の中にゾウがいるということに改めて驚きと感心を感じずにはいられない。ちょっと早めのクリスマスプレゼントだったのかもしれないね、ラッキー。

サケーオまでの道はいたってシンプルだ。国道33号線に入ればあとはひたすら東に向かって進むだけ。プラチンブリから33号線に入った当初は林の間の木洩れ日の気持ち良い道が続き、途中手編みのカゴなどを売る民芸品屋(雑貨屋)さんが立ち並ぶエリアもあり、ちょっと立ち止まって眺めるのも楽しい。

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しかし爽快な気分もそう長くは続かなかった。林はいつしか無くなり、またあのだだっぴろい単調な国道に戻ってしまったのだ。けっきょくこの風景はこの日のゴールまで変わることなく続いた。日陰もほとんどなく、照り付ける日差しからは逃れようもなく、目的地までの残りkm数が減るのだけを喜びにただひたすら黙々とこぎ続けるほかはなかった、大げさだけどまるで修行のようでもある。昼休憩時に飲んだペプシコーラの旨かったこと。

ただ目的地に着くことだけを考え、午後6時にサケーオの宿へと到着した。走行距離は100km近くだったようだ。コテンパンに疲れてしまったので次の日はもう走らないことにする。

いよいよカンボジアとの国境まであと50数キロというところまで来た。年越しは日本人宿でゆっくりしたいかな。


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