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Coffee Life in Ho-chi-min

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ホーチミンには長らく滞在した。そのことについていくつか覚書を。

まずはホーチミンの町とお世話になった宿について書いておこう。宿はEZ STAY SAIGONという日本人宿である。ドミトリー(相部屋)1泊1500円と、アジアの貧乏旅行で泊まる宿の相場としてはなかなか贅沢ではあるけど、ここはそれに見合うコストパフォーマンスが十二分にあります。OPENしてから間もないのもあるけど、掃除が行き届いており宿の清潔さはゲストハウスの中でもピカイチ。そしてこの宿の売りであり、またそれを目的にわざわざ遠くからやってくる人もいる、それは最上階に設けられた「お風呂」である。ホテルにあるバスタブとかではない、その風呂はまさしく日本のそれと同じであり、3人くらいは同時に入れてしまう広さがある。長い海外旅行中に味わう日本の風呂は感動もひとしおである。さらにこの宿の管理人である濱さんという方がこの宿の魅力の一つでもあろう。美味しいお店の情報はもちろん、旅に関わるちょっとした相談にも真剣に考えてくれた。年は僕よりずっと上であるが、僕たちと同じ目線で遊んでくれることがとても嬉しい。あとキッチンが自由に使えるのがありがたかった。アジアだから自炊じゃなく外食でも高くはつかないけど、僕は自炊が好きなのでパスタが食べたくなった時や、「日本のうどんが食べたい!」って思った時もスーパーで麺棒と小麦粉を買って手打ちうどんを宿泊者のみんなにもふるまったりして楽しんでいた。宿泊客のほとんどは日本人なので仲良くなるのも一瞬である。そんなこんなあまりにも居心地がいいものだから、確か12泊ぐらいしたんじゃないかな。ビザ問題も含めて良い意味でも悪い意味でもホーチミンではかなりのお金を使ってしまったけどね。兎にも角にもEZ STAY SAIGONという宿は相部屋が気にならないという方であればとてもオススメの宿ということを記しておく。

ホーチミン滞在中はこれからの再出発に向けての細かい準備、自転車の整備、携帯などの購入や道具の整理、写真データの整理、名刺の作成などをこなしつつ、食べ歩きや町歩きも楽しんでいた。ベトナムの北部にある首都ハノイは都会ながらも古い面影や情緒も残すと聞いたが、南部のホーチミンは高層ビルが建ち、どんどん発展を進めているという。噂には聞いていたが、バイクは道を大河のように席巻している。我々外国人には「名物」としても見えるけど充満する排気ガスは少なからず社会問題でもあるようで、マスクをしている現地人は少なくなく、道沿いにも「マスク屋」と「ヘルメット屋」はよく見かける。しかしベトナム人の商魂たくましさというのは本当にすさまじい。道を歩けば様々な「~屋」に遭遇する。商売は必ずしも店舗を持たなくていいようである。彼らは商売道具を持って町を闊歩して常に客を探している。それはサングラス屋であったり、靴磨き屋であったり、スルメ屋、果物屋、ピーナッツ屋、よろず屋(?)、金魚屋、宝くじ屋・・・あげだしたらキリがない。宝くじ売りは特によく見かける、これには女性やお年寄りが従事していることが多い。紙の束を手に持って「どうよ?」という感じで宝くじを見せてくる。毎日何度も遭遇するし、だいいち当たりの確認の仕方も分からないのでいつも「ホン(いいえ)」と断るのだけど、売り子をしている人は本当に多く、この間食堂で友達とご飯を食べている30分の間に7人もの売り子が僕たちのもとにやってきた時はさすがに笑ってしまった。宝くじと一緒にうずらの卵や果物、お菓子などの食品も一緒に持ち合わせている売り子もいる。いやはや、やるものである。僕も日本に帰ったら副業程度で「歩くセールスマン」やってみようかな。まあ日本でやったら、やれ誰の許可とったんじゃとか何かとうるさく言われそうな気はしますが。

ベトナムのグルメは種類が多く、味付けも日本人の味覚にとても合う。しかし僕はコーヒー好きなので、グルメは他の方に任せるとしてコーヒーについての話を少し。 ベトナムといえばなんといってもベトナムコーヒーである。ベトナムは世界でもブラジルに次ぐコーヒー生産第2位の国である。その豆のほとんどは「ロブスタ種」という品種で、これは日本の喫茶店で飲むブラックコーヒーに適した品種ではなく、日本ではインスタントコーヒーやブレンドに混ぜられたりすることが多い(割合は少ないがアラビカ種も栽培・流通している)。そのロブスタ種の豆を存分に味わう現地の飲み方が所謂「ベトナムコーヒー」である。挽いた豆を金属フィルターに詰めてお湯を注いだら蓋をして、そのままカップと共にテーブルへ提供される。ここであせって飲もうとしてもいけない。フィルターからポツ、ポツと点滴のように濃厚な液体が最後まで落ち切るまで待たなければならない。この待つ時間もまたベトナムコーヒーの楽しみの一つである。カップには砂糖か練乳が下にひかれており、抽出し終えた器具をはずしたらスプーンで底から混ぜて好みの加減で止め、すすってみる。脳天に直撃するような砂糖の甘味と濃厚なコーヒーのコクが口の中に広がる。ちなみに今説明したのはホットコーヒーで、アイスの場合は最初からグラスに氷とコーヒーが入った完成系で提供される。僕は気分にもよるがホットでは濃いので練乳入りのアイスコーヒー「カフェ・スァ・ダー」を頼むことが多い。それでもやはりその甘さ・濃さは脳天を直撃してくるのだが、この甘さがなんともクセになるのだ。まあしかしこのようなエスプレッソみたいに濃いコーヒーなら練乳でなく普通に牛乳とかで割っても美味しいような気もするのだけど、エスプレッソマシンを据え置きカフェラテを提供するような大型店以外の個人でやってるコーヒー屋のミルク入りコーヒーといえばこの練乳入りの激甘コーヒーしか選択肢はないようである、うーん。 先ほど述べた大型チェーン店もあれば、小さな個人店、屋台のコーヒー屋など、ベトナム人はこれほどコーヒーは好きなのかと驚くほど店が多く、ホーチミン市内ではコーヒーを飲むことにはまったく事欠かない。屋台のコーヒー屋なら安いので10000ドン(50円)ほどで楽しむことが出来る。ちなみにベトナムはお茶の栽培もさかんで、カフェで飲むことも出来るし、フルーツを使った冷たいスムージーなども美味しいのでベトナムに行かれることがある方は是非いろんなドリンクを楽しまれてはいかがでしょう。

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僕は旅先にもコーヒードリップの器具を持ち歩いているので、現地でコーヒー豆を買うことがある。ドリップに適する品種は「アラビカ種」とさっき言った。そこでベトナムのアラビカ種の豆を買って宿で淹れて飲んでみる。一応僕はコーヒーの好みがあって、中米産、コスタリカとかエルサルバドルとかの酸味があって香りのよいコーヒーが好きなのだが、ベトナムのコーヒーはコクと苦味系なのだ。なのでちょっと自分の好みからはそれている、もちろん美味しいし、嫌いではない。しかしもっと美味しく飲むために挽き方を変えたり、お湯の温度を変えたりしているがまだ自分好みの味には出来ていない。そこでベトナム以外の豆をベトナムで探してみるのだけど、ベトナムは何度も言うけど世界第2位の生産国。だからベトナムで売ってる豆はほとんどベトナム産のものしかないのだニャーーー!!!・・・取り乱してしまった、失礼。さんざん探し回ったけど本当にベトナム産ばかりで・・・1件チェーン店でコスタリカの豆を見つけることが出来て値段を聞いたが100g700円と日本でもちょっとした高級豆にあたる値段を言われたので購入をためらったのだった・・・。

そうそう、豆といえば「ベンタイン市場」で幻のコーヒーといわれる「コピルアック」の豆が売っていた。「幻」の所以は、ジャコウネコ(インドネシア語でコピルアック)というイタチに似た動物がコーヒーの果実を食べて消化されずに糞としてでてきたコーヒーの種子(豆)を洗浄して焙煎したもので生産性が低いことと、ジャコウネコは完熟した良い果実だけを選んで食べること、ジャコウネコの腸内で発酵されることによる独特の香味が付加されることなどにポイントがあるそう。コピルアックの豆は日本でもほとんど販売されていないが、その際はバカ高い値段がつけられるそうだ。ベトナムの市場で売られている「ジャコウネコのコーヒー」と称される豆はわずか100g500円ほどで販売されてあるのです、ほ、ほほほ。いや、細かいことは気にしちゃいけない。その店のNO.2であり、なおかつ「イタチ系」の写真がはってある豆を買ってみていれてみよう。ちなみにベトナムコーヒーで使われる豆はコクを出すためにバターをいれて焙煎することが多いようだ。この買ってきた豆も例外なくバターが入っているようで、豆はテカテカと黒光りしている。いざドリップした液体をすすってみる。おお、これはコクがあってなかなか・・・しかし香りはバター、いや映画館で食べる「キャラメルコーン」のようなあまーい香りばかりが鼻孔をくすぐるのであった・・・。

話の大半がコーヒーのことになってしまった。まあなにせサイトの屋号が「さすらい喫茶」なのでお許しいただきたい。次回ついにホーチミンを出て新たなる旅路へ。


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