ベトナム人と日本人の作る小ネタ集
ここ最近のベトナム人たちと関わって、アレレな出来事と、嬉しかった出来事織り交ぜてご紹介したいと思います。ちょっと愚痴っぽく聞こえる点もありますが、そういうつもりはありませんので最後までご覧いただけましたら(長いけど)。ちなみに当てはめる写真が思い浮かばないので、最近食べたものなどを適当に配置するという手法でごまかしたいと思います。
①宿探しにまつわるてんやわんや ニャチャンでは旧正月をやり過ごすために来たというのは前にも書きました。いつも宿探しは行きあたりばったりがほとんどだけど、今回は2日前くらいから予約サイトで探してみたものの、安いゲストハウスもすでに予約でいっぱいらしいのだ。でもきっと予約サイトに載っていない安宿はあるはずだから現地に着いてから探すことにしよう。そしていざ、ニャチャンに僕はやってきた。宿探しより、まずは海を見たかった。実はこの旅でまだ海を一度も見ていないのだった。目の前に見えて来たのは、まさしくビーチである。僕は目をキラキラさせてペダルをこいだ、するとまるで水を差すようにベトナム人のバイクに乗ったオジサンが僕の横を並走しながら宿の勧誘をしてくる。手に持っているパンフレットをチラ見するとちゃんとしたホテルのようだった、もちろんホテルに泊まれるお金など持ち合わせていない。僕は「他を探してみてなかったらオジサンの所に泊まるよ。」と適当に答えて僕は一人海へ向かった。僕は自転車から降りて「あぁ~海だよ~」と一人感慨にふけっていた。するとさっき振り切ったはずのオジサンが後ろからやってきたのだ。もう、俺は今海が見たいんだ!と内心で思いつつ、値段だけ聞いてみることにした。2つ星ホテルのようだが、5泊で50ドルでイイという。しかもオジサンはこのホテルのオーナーということも分かった(実は後から勘違いであることが分かる)本当なら友達の出来やすい相部屋のゲストハウスのほうが値段面でも良かったのだけど、正月に1泊10ドルの個室ならまあ悪くはないかもな。僕はオジサンと握手を交わして交渉成立。今は海を見たいからあとで行くよと言ったけど、オジサンはどうしても僕から離れなかった。どうしても客を逃したくないようだ。仕方がないので先にホテルに向かうことにする。
オジサンのバイクに着いていくとどんどん路地裏に入っていく?だ、大丈夫?するとたどり着いたのは思いのほか普通のホテルであった。2つ星という、星のつけ方の基準なんて知らないけど、日本にあるような地方の小さなビジネスホテルという風情である。ロビーの女性に部屋を見せていただく。本当に5泊50ドルかちゃんと聞かないとな、すると女性から先に値段の話をしてきたのだがその内容に驚かずにはいられなかった。 「最初の2泊は10ドルずつだけど、それからは正月料金で1泊25ドルだけどいい?」 「え!?下のオーナーのオジサンには5泊で50ドルって言われたけど?」 「あの人はオーナーじゃないわ。」 「うそ!?話が違うよ。もう、いい。ありがとう。」 オーナーというのは僕の英語力の低さからの勘違いか、本当はオーナーと友達くらいの話だったのかもしれない。さておき、ホテルの外に出てオジサンにかけよる。 「話が違うよ。3泊目から高くなるって言ってる。悪いけど他を当たるよ。ごめんね。」 「ちょ、ちょ。交渉してくるから待って。」 オジサン交渉に向かうも変わらず。じゃあ2泊だけでもしていけよと言うが、元旦から開いてるか分からない宿を求めてさまようのもイヤだった。 「となりのホテルも俺の友達だから。」 そこもやはり正月料金で僕の手の出るものではなかった。少し冷静になった僕は「案内してくれたのにごめんね、じゃあ。」と言ってその場を去った。オジサンはふてくされて肩を落としていた、なんかこちらが悪い気持ちになってくるのだけど・・・。
さて、ゲストハウスの看板を掲げてる所を探そう。大通りに合流しようとしたその瞬間、オジサンがまたも後ろから登場!もう~本当にしつこい。 「これが最後だから!お前に安いところを紹介してやる。」 また後ろについて行きながらこのままどっかに逃げてやろうかなと思ったけど、まあ悪い人ではなさそうやし、なんか申し訳ないし・・・。さて、たどり着いたホテルだが、最初2泊は10ドル、元旦は15ドル、その翌日30ドル・・・。15までがボーダーラインかなあ、でも元旦からの宿探しは避けれるし、これ以上断りにくい雰囲気も正直あったので3泊はそこですることにした。あと1泊か、2泊はまた安いところを探そう。しばらくオジサンを付きあわせてしまって悪かったので(まあむこうから着いてきたのですが)この旅で初めてチップを渡すことにした(400円くらい)。オジサン一仕事終えた表情で満足げにイスに座っている「いやあ、俺はニャチャンに住んでいて色々知ってるからさあ。」悪いオジサンではなかった。しかしそこでの3泊を終える前日、これまでチェックしていなかった予約サイトを見ると今よりもずっと安い7ドルで泊まれるゲストハウスが2件ほど普通に空室だったのだ。ニャチャンに着いたころから空いていたかは知らないけど、チップ代込でけっこう損しちゃったなあ・・・。ダラットでも同じくバイクが並走してきて宿の勧誘を受けたけど、あっちは普通に安くてイイ宿だったから当たりだったけど、今後はちょっと気をつけたいところだ。何度も言うけどオジサンはイイ人だったんですけどね。
②実は正規料金だったらこっちの恥ですが 日本人は正月は初詣に神社に行く人が多いですね。国民の8割が仏教であるベトナム人は正月にはお寺に参詣に行くようです。僕も2件のお寺を参りました。最初の1件目は駐輪場代として5000ドン(30円くらい)を要求されたのですが、2件目のお寺ではなんと4倍の20000ドンの金額を言われました。え?なんでお寺でこんなに値段が違うの?と思いつつ、拝観料としてならいいか、としぶしぶ支払った。内心、そもそも駐輪場を管理する必要あるのかとも思いましたが。さて、そのお寺のお参りを済ませ帰ろうと思ったころ、ベトナム人の若者に3本の線香を渡されたのです。これを1本ずつさしていくんだ。言われるがままに線香を差して手を合わせた。さて、帰るかと思うと「ヘイ、ジャパン!こっちこっち。」と招かれ、手を差し出された。ああ、線香代いるのね。いくら?と聞くと、 「100000ドン(500円)」と言うのである。 「え!?高すぎやろ。」と言うと 「みんな同じだよ。」とも言う。 そんな金額あとから言うな、と普段怒らない僕もさすがに抗議した。すると「じゃあ50000でいいよ。」と「みんな同じ金額」というのがいきなり半額になった。僕だって線香受け取った以上タダでいいとも思わないけど、後から言ってくる金額ではないと思う。「俺は10000しか払わない。」と言い続けて、最終的にはそうなった。ことが終わってから少し冷静になり、仏様に向けてもう一度手をあわせた「正月早々騒いですいません。」と。実はあれが正規料金でベトナム人たちも払っているのなら恥で申し訳ないと今は思う・・・けど、みんさんはどう思われます?
③ベトナム人とサービス業についての経験 日本でなんでもいいので店に入るとする。都会にあるような店なら多くの場合「いらっしゃいませ!」という爽やかな声と笑顔が向けられる。フロアを歩けば「いらっしゃいませ!」とすれ違いざまに声をかけてくれる。僕たちはそれが当たり前のように感じているし、サービス業に従事していた僕自身もそれが美徳とさえ思っていたふしがある。接客も大半は懇切丁寧である、ムスッとした対応をすると後からクレームが入ったりする(これはこれでイヤな話だと思う。)まだ世界のほんのほんの一部しか知らないけど、おそらくこんなサービス業の取り組み方をしているのは日本だけだろう。
さて、東南アジアにおけるサービス業について。まずは店に入って「いらっしゃいませ。」にあたるような声がかかることはあまりない。話しかけても作り笑顔で対応してくれることもあまりない。でもそれでこっちが気を悪くすることなんてタイに着いたその日から感じたことはほとんどない。「まあ、こんなもんでしょ。」という心の準備は初海外にして最初から持ち合わせていたようだ、だいたい日本のサービスが過剰なのである。(でも僕たちはそれが普段当たり前と思っている)いや、東南アジアにいても最初から笑顔で対応してくれる人はたくさんいてるし、そうでない方への不満だって特にはない。ただそういう「大らか」な国民性をご紹介したいだけなのだ。特筆すべきことは毎日入る食堂についてである。食堂に入るとオバチャンに目線だけ向けられる。「なんか変な外人が来たな・・・」という風だ。さて、そのまま突っ立っていても食事にはありつけない。こちらから適当に指さしてこれをご飯で食わしてくれ、と身振り手振りで言ってようやく、じゃあそこに座って待っとけと目線で案内される。(ちなみにローカル食堂はメニューがないことが多い。あってもこっちが言うまで持ってこない店もあるけど。)と、そんな感じでも最後にお金を払って「ありがとう。」と現地語で言うと、ニヤリと笑って向こうも「ありがとよ。」と返してくれる。まあ最後まで不愛想な人もいてますけど。
ここで最近印象に残る3つの飲食店を紹介したい。 まず一つ目、これは国道沿いによくある、半青空カフェでの話。外気温が暑すぎて、よれよれの思いでカフェに入る。すると店にいた3人は全員ハンモックに寝て沈黙している。おそらくこのうちの誰かが店員なのだろう、しかしそれが誰かまでは分からない。すると僕に気付いたオッサンが店員の女の子を起こしてくれた。女の子は眠そうにハンモックから立ち上がる。「カフェ・スア・ダー」が欲しい、そう告げて、あいよと言わんばかりにのそのそと、コーヒーを作りに行く。その一連の動きを見ながら僕は内心ニヤニヤと楽しんでいた。そんな感じで時はゆったり流れていたが、そのうち3人くらい地元の人たちが店にやってきた。ワイワイ騒いでいるかと思うと、切ったスイカを僕に手渡してきたのだ。そのうちなにか話しかけてくるようになった。最初店に来た時からは想像できなかった向こうの笑顔と優しさに嬉しくなった。ほったて小屋のような簡素な店に、心地よい涼しい風が吹いていた。
2件目、国道沿いに並ぶこれまた簡素な作りの青空食堂が何軒か立ち並ぶ中の1件に入る。イスに座ってるオジサンが店員かと思い、笑顔を向けるとお客さんだったようだ。オジサンが声をかけた店の店員のオバチャンはやはりハンモックで寝ていた。オバチャンは一瞬こっちに目をむけたが、すぐにまた寝に入ってしまった。さすがにこれには別の店にしようかと諦めかけたが、1歩踏み出してオバチャンを起こす。 「なんか食いたいんですけどー!」 オバチャンやっと起きる。看板に「ミーサオ(焼きそば)」と書かれていたのでそれを頼むと、オバチャンは「そんな面倒くさいもの頼んで!」という表情になった。そして厨房に向かうと、厨房に散らばっていたであろうゴミの類を足でバシバシと蹴って非常に機嫌が悪そうに見える。これも初めてみる光景ではなかったのでそうは驚かない。てゆうかそんなに面倒くさいなら(店を)開けんかったらエエのにとも思う。しかしいざ出てきたミーサオは予想以上に具沢山で味もとても旨かったのだ。なーんや、オバチャンやれば出来るやん!っていう生意気な感想が頭に浮かんだ。僕が食べている様子をヒジをついて見ていたオバチャンが、さっきは不機嫌そうに見えたけど今は笑って「旨いか?」と聞いてきたので、僕は「ゴーン・ラーム!(めっちゃうまいよ!)」と親指を立てて返した。
3軒目、そこそこの規模のある街に午後3時くらい通りかかった。その日も暑く、食欲があまりなかったけどなにか食べておかないと、とベトナムの麺料理「フォー」の店に入ったのだ。建物はこざっぱりとしていたのだが、客は誰もいないのに、前の客の散らかしたティッシュやなにやらが店の床に散乱していて、食べ終わった食器などもテーブルに放置されたままだ。こういう光景も別に珍しくないけど、建物のキレイさとのギャップがイヤに強く感じられ、ここはやめといた方が良かったかな・・・そんな思いもよぎった。店の若い女の人は奥で自分の子供をあやしながらパソコンのYOUTUBEでアクション時代劇のドラマを見ていた。先に片付けようや、まったく。フォーを食べている最中、さっきの嫁さんの母親もしくは姑さんとおぼしきオバチャンが無言で僕のテーブルも含む片付けを進めていった。この日は朝から頭が痛くて、外も暑いわ、工事中だらけだわで疲弊していた。食べ終わって僕は席でしばらくウトウトとしていた。このままではいけないと思い、立ち上がってお会計しようとすると、さっきの無言のオバチャンは店の奥の部屋を指し示し、「あそこで寝ていきなさい。」と言ってきた。突然の優しさに僕は驚いた、きっと席でウトウトしていたのを見ていたのだろう。ちょっとその時は本当に疲れていたのでお言葉に甘えることにして、僕は店の奥のその人たちの居住スペースのマットレスで30分くらい寝かせてもらった。店に入った当初はこんな展開になるとは思ってもいないのでなんだかおかしくなる。起きると、オバチャンのご主人もいらして、別に変わったこともないという風に「よく寝れたか?」とごく自然に接してくれた。僕と家族4人のいる、夕暮れが近づく食堂の中にはなんともいえない穏やかな空気が流れていた。そのうちオバチャンはなにか言った。「ここに泊まっていったどうだ?」そう言ってるように僕は都合よく解釈したが、ベトナム語なので確信はない。それもアリだなと思ったけど、聞き間違えかもしれないし、甘えてはいけない。でも本当のところを言うと泊まってみたかっというのはある。宿代が浮くとかそんなんではなく、この人たちの温かさにもうしばらく抱かれていたい。そんな心地よさがあった。「カム・オン・ニュウ(本当にありがとう)」僕は精一杯の笑顔を向けて彼らに感謝した。ペダルを踏みながら、僕は胸にじんわりと熱いものを感じていた。
僕は基本的に悪いことを書いたり思ったりすること自体が嫌いである。思わないようにしていても僕は修行を積んだ僧侶であるわけもなく、苛立ったりすることもあり、友達に愚痴をこぼすこともある。しかし、それをネットなどに書きこむことはしたくない。今回の話にしても②のような線香の話は悪口に聞こえそうなので書くのを迷ったけど、僕はそういうやり取りも含めて楽しんでいることを付け加えておきたい。まあ本気でイヤな思いをしたことがないからキレイごとを言えるけど、旅先では笑えないくらいイヤな思いをしてる人もいるだろう。でも今書いてきたこと全て含めて僕はベトナム人たちとのやりとりを楽しんでいるので、もしネガティブな方に受け取られたり、不快に思われたのなら申し訳ない、もちろんベトナム人の方々に対しても。ただ、旅先イイ思いばかり続くわけでもないので、こんなこともあると簡単に見ていただけたら。
最近の日記はちょっと文章が長い傾向にあるかもしれない。日本を周っていた時はリアルタイムにネットの更新をすることはほとんどなく、もっぱら紙のノートに日記を書いていたので(1年半で9冊くらい書いた)、今思うことを忘れないための覚書のようになっており、まとまりもなく読みにくいとは思うのですがお許しいただきたい。あと、都合によりコメント欄をサイトに設置できないので(本当は出来るけどお金がかかる)感想やお叱り(?)などあったら気楽にプロフィール欄に書いてあるアドレスにメールいただいたら喜びますので是非。