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蘇州夜曲の似合う町


ホイアンという町についてご紹介したいと思います。ここには丸5日滞在しましたが、ここまでベトナムを旅してきて1番か、2番に好きな場所かもしれません。いつも文章が多いのですが今日は写真を中心に解説という感じにしようと思います。

ホイアンは16世紀ごろから国際貿易港として栄え、中国やポルトガル、さらには日本も鎖国前までは貿易が盛んだったようで、ホイアンの旧市街地の中心にはこの辺りのランドマークでもある「日本橋」が今も残っています。ベトナム戦争で焼けずに残った街並みは、ベトナム・中国・日本の建築様式が入り交ざり、すすけた黄色い家の壁には眠っている郷愁を呼び覚ますような懐かしさがあります。僕はここに着いてからずっと頭の中にアン・サリーの歌う「蘇州夜曲」が流れていました。もしこのサイトをパソコンでご覧になられているのであれば、別タグでYOUTUBEで再生しながら写真など見ていただけますとより雰囲気が感じられるようになるのではと思います。

↓YOUTUBEに飛びます。

アンサリー「蘇州夜曲」

旧市街地に関して言えば土産物屋やレストランが立ち並び「ベタベタな観光地」といえばそうだ。宿で一緒だったドイツ人の女性も「ここはツーリストとショップばかりで私はもういいわ。」と言っていた。でも僕はそうは思わない、確かに店は多いけど、ホイアンでしか見られないような郷土品などがとても整然と美しくディスプレイされており、調和を乱しているとは思えないし、1件1件風情さえ感じられる。東南アジアと聞くだけで失礼ながらざっくりとした国民性をイメージしてしまいそうだが、商品のディスプレイに関しては美意識とも言えるこだわりがあるのか、果物屋ではキレイなピラミッド型に並べたり、小さな商店にだってまるでアートのような陳列を見ることもしばしば。

旧市街地だけが見どころではない。ベトナム人たちの居住区を自転車で周ってみると、1件1件の家がとても可愛らしく、草花にあふれ、洗濯物が気持ちよさそうに風に揺れている。暖かな陽光に照らされたパステルカラーの家々を見ていると、数年前訪れた沖縄の今帰仁村にも似ているような気がした。 またホイアンは貿易の町であるから当然海が近い。自転車で10分ほど行くとビーチにたどり着く。ビーチは観光客であふれ、それに伴ってベトナム人達の商売人もたくさんいたり、海岸通りはズラッとリゾートホテルが立ち並んでいる。僕はそういった場所を避けて、もっと奥の人の少ない防波堤近くまでやってきた。コンロを組み立てて、市場でさっき買ってきた野菜で煮込みラーメンを作る。砕ける波音を聴きながら、食後に淹れたコーヒーを飲むのもこれまた格別である。

泊まっていた宿に関して。ホイアンには「~ホームステイ」と名の付く民宿のような宿が多い。僕は「ペチュニア・ガーデン・ホームステイ」という宿の相部屋を利用した。園芸好きのおばあちゃんの家に泊まっているような花に囲まれた穏やかさと安心感のあるとても居心地の良い空間で、実際オーナーさん以外によくお世話して下さるおばあちゃんがいらして、僕はけっこう長居していたのでとてもかわいがってもらえました。

コーヒーネタについても少し。ホイアンには2件の行きつけの店があります。1件は旧市街地にある「MIA COFFEE」さん。ベトナムでは珍しく豆を自家焙煎でされており、エスプレッソマシンはもちろん、頼めばサイフォンでも淹れてくれるこだわりのある店で、玄人感漂う男らしい店内がかっこよくて、コーヒー飲みながら僕はずっとキョロキョロと見渡しては幸せの

溜息を漏らしていました。 もう1件は観光エリアから離れた、「ペチュニア~」の宿から歩いてすぐの「DINGO COFFEE&DELI」さん。ここのコーヒー豆はイタリアで焙煎された「LAVESSA」というメーカーのものを使用しているそうですが、東南アジアで作られている豆はブラックコーヒーとして飲むのはあまり僕の好みの味ではないのですが、ここで飲ませていただいた「アメリカーノ」はまず香りがとても良く、甘い酸味も素晴らしい。

この2件のうち1件で、バリスタさんと仲良くなり、コーヒートークに華が咲いた。ヨーロッパで3年ほどバリスタ修行されて、今はホイアンにいるけど、いずれハノイの方で自分のお店を持たれる予定らしい。その店に行くためにもまたベトナムを再訪する用事が出来たな。ちなみにそのバリスタさんのいる店でまた性懲りもなくマシンを触らせていただくことになった。最初の1回はミルクのスチーミングに失敗したが、2回目、3回目はそれなりのアートを描くことは出来た。ちなみにそのバリスタさんの描かれたラテアートは本当にレベルが高く、ベトナムでこのクオリティが出てくることに失礼ながらも心底驚いた。

ホイアンでは満月になる旧暦14日に夜祭が行われることがあるそうで、何も知らずに来た僕は運よくそのイベントに居合わせることができたのだ。夕暮れを眺めながらその時を待つことにする。

やがてその時がおとずれた。旧市街地には以前も夜に来たことはあるが、川沿いのホイアンの夜を彩る提灯もこの日は控えめで、変わりに灯篭がたくさんいる売り子達から買うことができ、それを川に流した幻想的な灯篭流しを見ることが出来る。この日は観光客もグッと増えるだけでなく、ベトナム人達もたくさん訪れるようで、小さな田舎町は信じられないくらいの賑わいを見せる。普段のホイアンの夜はもう少し静かなので、情緒を求めるならこの夜祭は避けた方がイイかもしれない。もちろん良さは両方に存在する。

というわけで3日の予定だった滞在が5日に伸びてしまった。前の日記で述べた苦労の2日間のおかげで一時期ベトナムのことが嫌いになりかけていましたが、僕はホイアンに来てすっかり気をよくしてイメージは改善された、まったく現金なやつである。田舎の飯の選択肢の少なさからも解放され、久々の西洋フードも選択肢もグッと増えたベトナムフードもたくさん堪能して少々過食気味の幸せな日々を送った。最近の食事に関してはまた別の機会で紹介の機会を設ける予定です。写真のしめくくりはホイアンで出会った笑顔の、ほんの一部をご紹介したいと思います。

さて、ホイアンからさほど距離もなくダナンという町、そして古都・フエと、この辺りには中部の見どころが集中している。それを越えるといよいよ東南アジア編のゴールと定めた首都ハノイまで目指すのみだ。動け旅人、また新たなる挑戦のために。

☆ホイアンムービー&スライドショーを作ってみました。☆

いくつかの動画と未公開の写真などを含めたなかなかの力作です。ちなみに「オチ」に使わせていただいた映像はホイアンで行われた「トウモロコシ祭り」の1コマより。観光客は少なくて来てるのはベトナム人ばかりだったけど、こんな面白いイベントを見ないなんてもったいないっすよ。


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