My name is Rooney
思えば10年ぶりの学生生活なのである。
3カ月少し東南アジアを旅してきて僕は英語力の低さを痛感した。旅に出る前、英語は?語学はどうするの?と何人もの人に聞かれた。いくつもの旅の指南本やインターネットのサイトに「英語はペラペラでなくてもなんとかなる。」という記述を見つけ、僕は一切の勉強をせずに海外に出た。
確かになんとかなるといえば、なんとかなるかもしれない。しかし備わっていればもっとスムーズに旅が出来ることは言うまでもない。自転車旅はバックパッカーと違って自分の足で移動できるので、タクシーなどの乗り物に乗るといった機会がないため、値段交渉の機会は思ったより多くない。それでも少なからず英語で交渉しなければいけない場面が出てくる中で(乗り物に乗るに限らず)、英語力の低さはウィークポイントになる。慣れている人なら語学力でなくそれをカバーする交渉力で乗り切るのかもしれないが、僕はどちらも弱いのですぐにあきらめて「少しくらい、いいか」と妥協していることが多かった。日本語を操るように英語で話せたらもう少し根気強く話し合うことも出来るだろうにと思うことはしばしばあった。
しかし本当の目的は値段交渉のための英語力ではなく、コミュニケーションをとるための英語を学びたいからである。旅先で何度も悔しい場面を経験してきた。一番きっかけになったのは、ベトナムのホーチミンでカナダ人と日本人2人、加えて僕の4人で会話していた時のこと。僕は全く英語ができない日本人に比べたら、毛が生えた程度ではあるが少しは聞き話せるとは思う。しかし大学で英語を専攻していた日本人2人とカナダ人の会話の概要をつかめたのは3割がせいぜいの所で、親切に日本人が通訳してくれたのだが、それが悔しくてたまらなかった。以前から旅人に話を聞いていたフィリピン留学を意識したのはその時からだったと思う。公用語が英語のところを除けば世界のほとんどには現地語が存在するので英語を話せる必要はさほどない、そんな意見も耳にしたことがあるが、欧米人たちツーリストと会話するのはほぼ間違いなく英語だし、アジアの田舎でさえ英語を僕以上に話せる人がいる時も。簡単な自己紹介だけの会話にはもう正直飽きた、いや、一番機会の多い自己紹介をおろそかにしてはいけないが、それ以上の突っ込んだ内容の会話をしてみたいのだ。ネットや映画で英語を勉強する人もおられるが、僕は性格的に継続性がないので強制的に英語漬けになれば少しは改善が早いかもしれない。長くなったが以上がフィリピン留学を決めた経緯である。
フィリピンには主に韓国や台湾、そして日本人向けの英語学校が多数存在し、欧米諸国に留学するより安価で済むのが魅力である。今回お世話になる学校も3週間で授業料込(月~金曜毎日7時間)・宿泊代・3食付で10万5千円という安さ(それ以外に航空券や所定手続などの費用が多少かかります)。入学するなら1年、とかではなく多くの学校で1週間単位で短期留学することが出来るのも魅力。旅先で留学を決めるなんて出来るのかなと不安だったが、日本の留学代理店「LIFETIME」さんの丁寧な対応のおかげで、今こうして学校に来ることが出来る。 僕の通う学校は寮が一体となっており、通学の手間がなく便利だ。一番安い4人部屋を選んだが思ったより部屋が広く、清潔で快適である。日本人経営の学校に決めたのは、食事が日本人の口に合うような調理をしていることが多いとのこと、ちょうど日本食も恋しくなってきのでね。実際うちの学校の料理には大満足している。美味すぎて食べ過ぎてしまうことも。野菜も多いので野菜不足の心配もなさそうである。
入寮して翌日は学校の説明と生徒のレベル分けテスト。初めてTOEICテストを受けてみたが僕の285というスコアは中学生レベルらしい。まあ10年も勉強してないのでそんなもんだろう。でも絶対僕が中学生の時は外人と話なんて出来なかっただろうからこのレッテルには少し悔しさも感じる。会話力はTOEICで数えれるものではなく、僕が中学生と違うのは多少なりの人生経験があるからではあるが。
1日本当に授業授業のスパルタ校もあるらしいけど、僕の場合しんどくなるのは目に見えてわかっていたので、緩すぎず厳しすぎずというところでこの学校を選んだ。授業は1日7時間、昼食の時間をのぞけばフリータイムの時間があり、その時にゆっくりすることができる。夕食の後は予習・復習などで2、3時間自習しているので1日10時間弱を勉強に費やしているが、思ったほどのしんどさはなく、好きなことなら勉強が苦痛でないことが分かり、これは学生時代には感じることのなかった新鮮な感覚である。
授業については僕の場合マンツーマン指導が4時間、他の生徒とのグループ授業が3時間。テキストは全て英語で書かれており、先生も日本語は話せないので全て英語で聞き、理解することが求められる。ハロー程度しかしゃべれない人も中にはいるようだが、さすがにその状態からのスタートだと苦労するだろう。ある程度事前に学習しておかないと授業自体についていくことが難しいだろう。そして積極性も大事、学校にいれば自動的に上達できるほど語学は甘くない。事実、2・3日の授業を経て分かったことは3週間程度でペラペラになろうなど、あまちしげる!な話なのである。しかし毎授業新鮮であるし、語彙は確実に増えてきているのも分かる。卒業時に劇的に変化することはないであろうけど、今回の留学が良いきっかけになるのは今からでも分かる。英語の勉強はこれからも続くのだ。
授業以外の学校生活について述べると、まずは生活を共にするルームメイトの存在や、食堂では毎日見知った生徒たちと顔を合わし、本当に学生時代にタイムスリップしたようななんともいえない新鮮な感覚を覚えた。最初知らない環境で友達作っていくときのドキドキ感ってこんな感じやっけ?あの子ちょっと可愛いねとか、今日の授業良く分からんかったねとか、そっちの先生どうなん?とか。喜びも苦労も分かち合うことが出来る。生徒の割合は日本人が半分越えで、あとは台湾人が多い。彼らと話すと英語の勉強にもなるし、文化交換も出来て一石二鳥だ。
土日祝は学校が休みになるので、自習したり息抜きに自転車こぎにいったりコーヒー飲みにいったりしている、息抜きは非常に大事だ。ちなみにタイトルに関してですが、学校内で呼ばれる自分のイングリッシュネームを決めなければならず、なんでもイイとこのことだったので、僕の好きなサッカー選手のウェイン・ルーニーの名前を拝借させてもらっている。
楽しい留学生活を過ごさせてもらっているが、勉強には時に苦労もあるようでして。次回に続きます。