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まだまだ浅漬け


これまで旅先で何度か英語の壁にぶち当たってきた。今回の留学も楽しいことばかりでなく、時につまづくことも味わうこととなる。

僕の学校は基本的に1日7時間の授業。基本的なコースを選択すると、講師とのマンツーマンの授業が4時間、他の生徒とのグループ授業が3時間。毎時間講師が変わるので、教え方、授業レベル、講師の性格も当然様々である。マンツーマン授業に関しては、自分の英語を今後どのような形で使っていきたいのかを講師と相談して、生徒のレベルを考慮した上で授業内容を決める。講師は日本語を話すことが出来ない、テキストも日本語の解説など皆無。全てを英語で理解しないといけない。知らない単語が出てきたら、その場で辞書で調べることもあるが、知らない単語を分かりやすい英語で表現して教えてもらうことで、辞書を開かずしてその意味を理解することが出来る。(例えばmelancholic=憂鬱な という単語の意味を"showing sadly"と別の言葉で説明されることで辞書を開かなくても理解できる) もちろんその逆もしかりで、この単語をdescribe(explain)説明しなさいという指示もよくあること。こうして英語を英語で理解するというクセがつく。マンツーマン授業ではリーディング、リスニング、グラマー(文法)、スピーキングなど講師によって授業スタイルが異なっていたが、僕の苦手な(おそらく日本人のほとんどが)リスニングやスピーキングでは苦労することが多かった。特にスピーキングでは自分のパーソナリティー(性格)や話題に対するオピニオン(意見)を不意打ちで質問してくるため、その場で考えて英語で答えなければならず、これには何度も苦労した。普段の生活でも考えないようなことを瞬時に考え、英語で伝える。頭の回転の速さ、話題性、表現力、ボキャブラリー、様々なことが要求される。一人で時間をかけて話す内容を絞り出し、分からない表現や単語を辞書で調べて・・・とやりたいところだが、講師は僕の目の前でまだか、まだかとじっと見つめてプレッシャーを与えてくる。冷や汗をかき、眉間にしわを寄せて、やっと絞り出した答えに良い反応を示してくれたらイイのだが、不十分な答えに難色を示したり、表情を変えずに「What else?(他には?)」という反応が返ってきた時には僕の冷や汗はさらに増す。英語での表現力の乏しさもさることながら、日本語でさえも何と答えていいかすぐに思いつかないことが多々あり(プレッシャーを感じているから余計に)、自分はいかに何も考えずに生きているかを痛感して、自分のパーソナリティーがえぐられていくようで、これまでの自分の情けない生き方に後悔することさえもあった。 "How do you think about happiness?(幸せについてあなたはどう考える?)" "What kind of weakpoint do you have?Why sensitive?Please tell me situations that make me sensitive?(あなたの短所を教えて?(僕の答えを受けて)なんで神経質なの?どんな時に神経質なるのか教えて?)" どんな時って言われてもなあ・・・そんなパッと浮かぶものでも無いし、だいたい思いついたところで自分の弱さを他人にさらけ出すのってけっこう恥ずかしいもんなんですよー!って思いながらも、講師は待ったなし、まだなの?難しいの?という目で見られながら僕は必死に答えをひねり出す・・・という苦しい場面を何度も味わいました。でもこれが出来るようにならなくちゃあ英語の壁は乗り越えることが出来ないのも確か。

一方グループクラスは英語字幕付きの映画を見て考える授業、一つの話題について生徒たちでディスカッションする授業、発音の強制の授業など。フィリピン留学はマンツーマン授業の安さが魅力の一つで、グループ授業なしの、全ての時間をマンツーマン授業にしている方もいらっしゃったが、僕はこのグループクラスが案外楽しかった。生徒の7割は日本人であったが、グループクラスには台湾人や他の国の生徒も交じっての授業だったので、お互いの文化についてディスカッションしたり、何より人数が多い分回答する機会が分散するので単純にマンツーマンより気が楽というのもある。(かといってボヤーっとしていると、今の意見についてどう思う?とかいきなり質問されたりするので、集中力を落とすことはない。)

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再びマンツーマン授業の話に戻ると、ほとんどの部屋が1m四方くらいの狭いスペースで講師と向かい合って授業を受けるため、講師との相性はとても重要になってくる。授業内容も難しく、しかも厳しい表情で答えを迫ってくる人もいれば、簡単な内容でしかもベタ褒めしてくる優しい人もいたし、授業内容が難しくても、感動的なまでに分かりやすく説明してくれる講師もいた、この人は僕が理解に苦しんでいても笑顔が絶えなかった。厳しさも自分のためになることもあろう、しかし狭い部屋での2人きりというのは時にツラいことも。概ね講師の方達とはうまくやっていたのだが、どうしても一人だけ英語が聞き取りにくい先生がいらっしゃった。これは僕のリスニング力が悪いのが最大の原因なので、とやかく言うつもりはないけど、僕があまりにも「もう1回言って。」と繰り返すものだから向こうもさすがに「またか?」という雰囲気になり、僕は頑張りたいけど、雰囲気は悪くなる一方で・・・。悩み悩んでその先生は変えさせていただくこととなった。相性の問題は少なからずあるようで、講師の変更はどの学校でもよくあるとのことである。

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人によってはうまくいかない講師とも僕ならうまくやれる、逆もしかり。うちの学校だけでなく他の学校でも教師との相性の問題はいつでもあるようで、講師の変更のしやすさを特徴に謳っている学校もあるよう。僕が逃げたくないと思ったように、日本人は我慢しがちなのかもしれないが、仕事でもないのだから、合わないと思ったら講師を変えてしまうのはいたって普通のことのようだ。しかし心の修行が全然足りてないな。もっと上手くやれるように雰囲気を変えたりする努力も出来たのではないか?とも今は思ったりする。

1日の授業が終わると、夕飯を食べた後は自習にとりかかった。授業の時間を合わせると毎日1日10時間は勉強していたが、好きなことだと苦に感じないことには驚きだった。高校生までの学生生活で勉強が面白いと感じたことはほぼ一度も無かったから。 あっという間に2週間が終わってしまった。いくら毎日10時間勉強でもこれではまだまだ浅漬けにすぎない。あと1週間で僕は少しは成長することができるのか。

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