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I can fly!

「やはりまたこうなってしまったか。」

3週間の短い学生生活を終え、フライトまでの2日間を以前も利用した安宿で過ごすこととなった。この宿にはエアコンがないのだが、そのツラさを忘れていた。家の中にいるだけでダラダラと汗が流れてくる。少し高くなってもエアコンの効いてる宿を選ぶべきだったか、この宿は庭があるので自転車を分解するのに便利かと思ったのだけどもう少し考えるべきやったぞ、この暑さはもう。

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出発までには十分余裕があって、セブの街をもう少し撮り歩くぐらいの時間はあると思っていた。しかし気が付くとやることだらけ。ちょ、これって出発までに間に合うのか?1カ月前に体験したばかりのフライトまでのバタ子さんモード再来。パソコン作業を深夜までこなして迎えた最終日の朝から郵便局に走り、写真データを保存したDVDを日本に送り、お世話になったベトナム人にも2通手紙を出した。その足で自転車屋さんを周って自転車を収納する段ボールをもらえないか交渉するも、箱が無いとか、あげることができない(売ることもできないらしい)とかで次々と断られる始末。段ボールがないと飛行機に乗れないので絶対に手に入れないといけないが、間昼間のおそろしい暑さの中で僕はかなり疲弊していた。ネットで見つけた自転車屋さんに電話をかけると、ようやく確実に手に入る情報を確認。徒歩とジプニーを駆使してお店に向かい、無事段ボールをゲット(本来捨てるものを800円ほどで「購入」したけど言ってられない)これで飛行機に乗れる!I can fly! 意気揚々とした気持ちで3kmの道のりを段ボール持って宿まで帰る。帰ってすぐに梱包作業。急げ急げ。これで3度目の飛行機輪行とあって、何から分解すればいいのかなど、手慣れたもんである。他の荷物も全て段ボールに詰め込んで、時刻は午後8時50分。予約していたタクシーが来る時間の10分前であった、我ながらなんてギリギリなんだ・・・。もちろんセブの街をゆっくりと写真歩きする時間などなかった。

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(上:カラフルな庶民の足「ジプニー」をコレクションしてみました)

(下:路上カラオケ屋で熱唱するお婆ちゃん。その素晴らしい歌唱力にはジプニーに乗ってる地元民まで思わずのぞくほど。ディーバならぬ「ディー婆」である。) しかしひとまずこれで飛行機に乗ることが出来るので安堵である・・・と思っていたら、今度は予約していたタクシーがやって来ない。自転車の箱が大きいので普通のタクシーでは入らないと思い、バンタイプの大きな車を手配していたのだが、運転手に電話をしてもうんともすんとも言わない。そこで心配した宿の人が神の一言「他のタクシー拾えば?たぶん自転車も入るよ。」ほ、ほんとうに?でも試してみる以外なかった。道に出て最初に停まったタクシーに事情を説明して、いざ自転車の箱を入れると・・・入った!入ったよ!セダンでも入るんや!それは本来の予約の時間から1時間経ったころだった、ようやく本当にフライトに向かえるようだ。1時間遅れたとは言え余裕を見ていたので、十分間に合う時間だ。しかし、9時に来ていてくれたなら学校のみんなにもう一度挨拶に行く予定だったけどそれは叶わなかった。ちょっと運転荒めで聞き取りにくい英語を話すタクシーの運ちゃんがこれだけ頼もしいとは、ありがたや、ありがたや。

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4カ月半滞在した東南アジア。初めての海外旅行にして自転車旅という無謀なスタートをしたが、僕は無事こうしてやりきることができた。感謝以外のなにものでもない。アジアは物や人がゴチャゴチャと混沌としていて、おびただしいほどの熱量がうずめいていて、人々の大らかでイイ加減さに時々はイラっとして、でも人懐っこくしゃべりかけてくる彼らの笑顔と親切には何度も救われ癒されてきた。この旅は自転車旅であるのと同時にコーヒーを巡る旅でもあるけど、農園を見学したり、バリスタさんと語りあったり、思っていた以上の収穫があったことに驚いた。日本を周った時は「理由は色々あるけど、ただやりたい。」という単純なものだった。もちろんたくさんの思い出が出来たし、今につながる良い体験ではあったけど、今とあの時では旅の捉え方が異なるように感じる。旅をしながらこの経験をどうやって今後の人生に生かしていけるか?たった4カ月半の中で僕は何度「旅に出て良かった」と思ったことだろう、これは今までには無かったことである。

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さあさあ、このフライトを経て、僕はいよいよヨーロッパの地に足を踏み入れるのだ。混沌としたアジアに長く身を置いたからか、洗練されたイメージのあるヨーロッパに一気に世界が変わるのかと思うと信じられない気持ちである。僕はヨーロッパで今度は何を勉強することができるだろう?僕の旅はまだ続く。


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