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イタリアに手紙を送るなら

とうとうイタリアを離れる時がすぐそこに近づいているようだ。マッジョーレ湖のキャンプ場にいる、スイスとの国境からそう遠くない場所だ。例の場所が近づいているせいか、湖の周りにはこれまで見たことの無いような巨大な山々が周りを囲んでいる。例の場所とは?それはおいおい述べるとして、イタリアを出る前にこの国についておさらいしておきたいと思う。その間にパビアからマッジョーレ湖までの写真も合わせてご紹介していきます。

よもや1カ月と少しも滞在することになったイタリア。本当なら3カ月の間に北欧まで足を伸ばすつもりであったが、それは諦めた。理由は2つあって、あまりにものんびりなペースのためたどり着くのが難しいことが一つ、もう一つはこの国があまりにも僕にとって楽しかったから。無理してまで北欧まで行く必要が無いと思ったのだ。

好きな理由はたくさんある。まずどこを走っても美しい景色。この国は絶景しかないんじゃないか?湖、地中海、小さくて可愛らしい村、まめに手入れされた民家の鉢植え(どこもセンス良く、家屋とのマッチ感が凄い)、緑美しいなだらかな丘、銀色に輝くオリーブ畑、目に優しいブドウ畑、沿道にあふれるカラフルな野花たちと、とても変化に富んでいる。自転車をこげば息を飲むような、時には笑ってしまうほどの絶景に出会うこ日々。東南アジアではこれほど風景写真を撮ることはなかった。逆に言えば人の写真が減ってしまった。後でまた話すけどイタリアの人たちはとてもフレンドリーですが、写真撮らせてとなると逃げられてしまうことがいくらかあった。バールでマシンを操るバリスタ、赤いシャツを身に纏い壁にもたれるお爺さん、木陰で井戸端会議にしけこむご婦人方・・・撮りたい場面はたくさんあったけど、人物写真に関しては少し自分の中では不完全燃焼気味である。それでも一人で写るのはイヤだけど、君とのツーショットならイイよっていう人がけっこう多い。「作品」としては撮れなかったけど、「思い出」として残ればこれはこれで僕の宝物になるのだから十分じゃないか。

次に食の豊かさ。結局まともな外食をしたのは片手で数えるほど、もちろんどれも美味しかったし、きっと何を頼んでもイタリアで「はずれ」を引くことは少ないんじゃないだろうか?イタリア料理は日本人も大好きだし、世界中でも嫌いな人などそういないだろう。お金さえあればリストランテでメニューの端から端まで頼んで食い倒れてしまいたいものだ、お金さえあればね・・・。そのかわり僕は「自炊」することが出来る。スーパーでは、チーズ一つとっても驚くべき種類が並び、しかも値段も高くない。僕にイタリア料理の知識があればもっと色んな食材に手を出すことも出来たのが悔いの残るところだが、スーパーに行くのが、ご飯を作る時が、走ってる時も今日は何を食べようかなど、イタリアにいる間は食べることばかり考えていたような気がする。

食に関連して外せないのが「バール」の存在。ヨーロッパであるのに、コーヒー代が100円ちょっとで楽しめるというのはコーヒー好きである僕にとってどれだけ嬉しいことだったか。1日のうち必ず一度は「コーヒー休憩」を挟める幸せ。ここにも後悔があって、イタリアならではのアレンジドリンクがあるらしいのだがその存在を知らずうちにイタリアを出てしまったこと。頼んでいたのはほとんどエスプレッソかカプチーノ、時々アメリカーノくらいだったからなあ。

なんといっても印象深いのはイタリア人たちだ。アジアでは大人も子供もみんな人懐こかった。歴史と文化があり、生活水準の整ったヨーロッパ、民族意識が高く、小さな日本人などなめられてしまうのでは?そう思いながら来てみたけど、イタリアに関しては全くそんなことは感じさせず、目が合えば「チャオ!」と微笑んで挨拶してくれるし、地図を見ていたら「どうした?迷ってるのか?」と声をかけてくれるし、分かりやすい所まで車に自転車ごとのっけてもらったこともあった。自転車旅だからというのもあると思うけど、よく応援されたり、色々と良くしてもらったフレンドリーなイタリア人たち。僕にとってこの国の魅力の一つなのだ。 というわけで1カ月以上いながら悪い思いをしたことはほとんど無い。あるとしたら坂道が多かったことと(これは文句つけるところではないけど)、自転車用の路肩はほぼ無く信号も少ないので車が凄いスピードで横を通るので恐怖を感じることがあります。イタリアをこれから自転車で周るという方が見ていらっしゃったら、あまり景色などに見とれないように注意された方がイイと思います。(別にイタリアに限ったことではありませんが。)本当にアモーレでいっぱいだよ、イタリア。Ciao!Grazie!!

さて、そろそろあの場所に向かう時がきたようです。そこはヨーロッパ編でも一番のターニングポイントにもなりえる場所であろう「アルプス」。果たして自転車でアルプスを越えていくことは可能なのか。僕はその舞台の袖までやって来ている、あとは一歩を踏み出すだけなのだ。


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