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早くも決別宣言?

朝起きる。窓の外を見やれば霧に包まれた白い山、そうだそうだ僕は今アルプスの峠の頂上にいるのだ。朝食をいただいてからホテルの周りを少し散策してみることに。眠気を覚ますほどのキリッとした冷たい空気、深い霧は向こうの道路や巨大な山々をも白いベールをかけたように包み隠す。人知をはるかに越え、太刀打ちできないような畏れの念を抱く。

しかし目の前に広がる真っ白な世界は確かに幻想的で美しい。

昨日の夕食は勧められるがままホテルのレストランでとることにした。メニューを見せていただくとそれは本当に「え?ギャグですよね?」と言いたくなるような値段が並んである。一番安いパスタが日本円にして2500円から?こんな山の上で食べれるだけでも有難いでしょ?という強気の値段設定なのかなと思ったけど、この後下界に降りて他所のレストランのメニューをチラ見してみたが、どうやらこの値段設定はこの国のスタンダードなのだと知り2度驚いた。しかしこの時の僕は疲れていたのか、宿代の9000円で金銭感覚も麻痺していたのもあり、宿主が勧めてくれたさらに値段の高い4000円のカレーを頼んだのだ。改めて値段を書くと驚きだ。こんなことを書くのはよかないが、この味でこの値段かあ・・というのが正直な感想。これならカバンの中に入れていたパンにオリーブオイルと塩まぶして食べた方がよほど節約になったよねと思うのは後の祭り。確かに昨日の終わりはひどく疲れていて、峠の下りで危険な目に合う可能性を避けてホテルを利用したことは賢明でもあるけど、旅を続けるために節約しながら旅行している僕にとっては、この時支払った額はことあるごとに思い出してしまうのだった。

峠の下りはあっけないくらいあっという間だった。下りの終わりの辺りは直線的な道が多くあまりにスピードが出るものだからバランス感覚を失いかけて恐怖を感じるほどだった。下界の街BRIGのそばまでやってくる、風は一気に生ぬるくなり、僕は着ていたジャケットやセーターをカバンにしまいこんだ。丘の上からは両脇を急峻な山々があちらの方まで延び、まさしく「V」の形の谷の合間に街は広がっている、これもまたスイスらしい風景かなと思う。緑の斜面にはガランゴロンと響きの良い鐘を首につけた牛たちが放牧されている。点在する家々はこげ茶色の木造の家屋に真っ赤な窓枠が可愛らしい。イタリアではちょっとくすんだ色とりどりのパステルカラーの家が並んでいた。この後もスイスの新旧織り交ぜた家屋を目にするが、色の彩度がはっきりとしていて、色のチョイスは日本人には思いつかない大胆な取り合わせをする、しかし嫌気を感じないのはここがその色使いにマッチする自然、文化、人があるからで、日本でこれを真似しようとすると違和感があるだろう。日本には日本に合う素材や色があると、異国の建築文化を見ながらそう思う。

(BRIGの町中にて。ホグワーツ城みたい。)

さてBRIGの中心街までやって来た。見ればスーパーマーケットらしき建物があるな。よーし入ってみよう、10分後スーパーを出た僕の顔は青白くなっていただろう。高い、いつも買っている物の値段がイタリアよりはるかに高い!しかしその店は土産物や化粧品などを一緒に売るような店、その隣にはれっきとしたスーパーである僕の大好きな「COOP」があるので続けて入ったが、結果はあまり変わらなかった。僕のよく買うものがイタリアに比べ2倍も3倍も高い。高い。スイスは物価が高いと聞いていたけど、これほどまでとは(イタリアはスーパーに関しては日本より少し安いくらいでしたからね、ちなみに北欧はスイス人が驚くくらいもっと高いらしい)。これは早くこの国を出なくちゃあいけないな、着いたばかりなのに僕はもうすでにこの国で一人焦りを覚えている。 そう言いつつもスイスの旅はしばらく続きます。

(スーパーマーケットにて。一面のヨーグルト、こんなにいる?)


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