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われもこうありたい

ムルルハルト滞在記2日目。ドリスさんは友人としばらくお出かけされるとのことで、朝にお礼を言ってお別れ。この日はシュエビッシュ・ホール(Schwabisch Hall)という少し離れた街がプリティー・グッドだよ、と勧められたので自転車で目指すことに。晴れたり滝のような雨が降ってきたり、この日の天気には翻弄されながらも、ウェットな森の中の道、丘にかぶさる白い霧、たわわに実る豊潤の麦畑を見ながら、今回の旅ではほぼ唯一と言えるドイツでのちゃんとしたツーリングを楽しめた気がする。本当にドイツにはもっと早く来るべきだった。どこでもたついてしまったのか、イタリアか?いや、キャンプ場で用もなくダラダラと2泊3泊としていたからだろう。まあせわしない旅なんてまっぴらごめんですけど。

たどり着いたシュエビッシュ・ホールはムルルハルトよりも街が大きく、同じ網目模様の家が並びやはり可愛らしかった。特に変わったエピソードも無く、ドリスさんの旦那さんと息子さんで穏やかな夜を過ごしてムルルハルトでの滞在を終えようとしていた。本当に色々とありがとう。

ちなみに今回の日記のタイトルはこの辺りで良く見かけられた「ワレモコウ」という野草の、名前の由縁となる一説である。この花は日本でも見られるそうだが、冷涼な気候の土地にしかないため、僕の住む関西ではいまだお目にかかったことが無く、僕は野草の写真集で「ワレモコウ」を知るなり、そのなんとも言えぬ憂いのある名前と、派手さも主張も無いその控えめな姿形は歌人の小林一茶も「ワレモコウ さし出て花の つもりかな」と詠んでいる。いつか自然に生えている様を見たい憧れていたのだが、まさか遠く離れたドイツで見ることが出来るとは思っていなかった。

この可愛らしい田舎街を出ると、ドイツはデュッセルドルフへ向かうことになっている。今回のヨーロッパの旅もいよいよ終盤を迎えようとしていた。


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