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カフェラテ求めて三千里

必ずやそのカフェに行くためにデュッセルドルフは僕にとって外せないマスト・プレイスであった。半年前、カンボジアの道端で知り合い、この今お世話になっているルディガーさんが同じくデュッセルに住んでいると聞いたときは、もう神様の思し召しとさえ思った。そのカフェの存在を何で知ったかと言うと実は、ご存知動画サイトのYOUTUBE。旅に出る前カフェで働いていた僕はある時ラテアートに目覚め、色んなコーヒー関係の書籍を読み漁り、教室に通い、そしてYOUTUBEのラテアート動画を見まくった。そこに頻繁に上がってくる動画はとあるカフェのプロモーション用に撮られたものみたいだが、構成や音楽の使い方、もちろんアート含めてとてもスタイリッシュで、何度も、何十回もこの動画を見直した。動画の中ではコーヒーを淹れる一人のバリスタさんがフィーチャーされており、いつかこのカフェに行って、出来ればそのバリスタさんにも会ってみたいと思ったのだ。今から紹介するそのカフェ、名を「BAZZAR CAFFE」という。まずはその動画をご覧いただきたい。

BAZZAR CAFFEはデュッセル市内に2店舗存在するそうである。デュッセルに到着した直後、ルディガーさんの自宅に向かう前、繁華街にある本店のBAZZAR CAFEへと立ち寄っていた。 「ここが憧れ倒したあのカフェなのか。」 表のテラス席はおそらく観光客たちと思われる方々で賑わっていてオープンな感じだったが、中に入れば雰囲気は一転、ラグジュアリーでありながら年月の経ったアンティークのような落ち着いた感じ。ドキドキしながら数人いるスタッフの中にそのバリスタさんを探したがいなかった。何はともあれ「カフェラテ」を頼んでみる。出てきたラテは、アートは普通のハートだったがフォームとボディの一体感が絶妙でチョコレートのような後味も良く、久々に美味しいカフェラテを飲んだ気がする。(最後に本当に美味しいと感じたカフェラテは1年前に飲んだ京都・出町柳の「WEEKENDERS COFFEE」さんまで遡る。)ところでここのスタッフさんに「動画に出てくるバリスタさんっているの?」と聞いたら「私はその動画のこと知らないけど、もう一つの店舗かもしれないわね。」と言われた。その僕の会いたいバリスタさんとこの店舗はあまり関係していないのかな。とはいえここはここで素晴らしいカフェ、オリジナルカップやエスプレッソツール、豆の販売もしていてワクワクする店だった。

後日、もう1店舗のBAZZAR CAFFEを訪れる機会がやって来た。その日は一旦ルディガーさん宅を出てキャンプ場に向かう途中で、フル装備の自転車で移動していた。朝から弱い雨が降っていたが、憧れのカフェに行くためなら雨など何の気にもならず胸は高鳴るばかり。街の中心から離れた場所にそのカフェを見つけた時、心のフューエル・メーターの針はついに限界を振り切ってグルグルと回転し始めた(んなアホな。)ああ、ここがヨーロッパ編のゴールだったのだ、そう思う。

さて、店内は本店のアンティークな雰囲気とはまた違う。壁はぐるりとガラス張りで外からの光が良く入り、明るく、内装も新しくて清潔感のある感じだ。店内に置いてあったポストカードにはそのバリスタさんが写っているのでもう間違いは無さそう。早速その人を探したが、マシンの前に立っているバリスタさんは若干似ているけど髪型が違う。イメチェンしたのか?お約束のカフェラテを頼むと、サーブされたコーヒーのアートは、まさに動画で見た何度も見たあのバリスタさんテイストのもので、味はというとやはり本店同様とても美味しい。店の女の子にポストカードを指して「この方っていますか?」と聞くと、「今の時間はいないんですよ。」と答えが返ってきた。まだデュッセルには何日かいるし、また来ようと一旦店を出る。近くに用事があったのでそれが終わった後、せっかくだからとカフェまで戻り、ガラス越しにいないか覗いてみると、 「!!!!!」 いはった。いてはる!お客さんと喋ったはる。もう胸バクバク、告白前の中学生みたいな感じ(よう分からんし。)興味ない人からいえば、たかがコーヒー淹れる人でしょ?という話なのですが、僕にとってはもうアイドルレベルにまで引き上げてますのでね。もちろん再入店しない訳がない。さっき質問した女の子と目が合って「アハハー、また来ちゃった。」と照れ笑い。時はランチタイム、たくさんある席のほとんどがお客さんでいっぱい、非常に賑やかな様子だった。そんな中、たぶんさっきの女の子が気を遣ってくれたのだろう。憧れのバリスタさんであるドリタン・アルセラさんがこちらにやって来て、なんと僕に話かけてくれたのだ。 「ハロー!君どっから来たの?」 「に、日本ですぅ!僕は以前カフェで働いていたのですが、このカフェにはめっちゃ来たかったですねん!(興奮気味)」 へーそうなんだ、エンジョイしてねー。という感じで握手をしてくれ、とても気さくな方だったから感激した。出来ればコーヒーの話などゆっくりしたいものだけど、アルセラさんはコーヒーを淹れたり、他のお客さんとお話をしたりで、僕が独り占めをするわけにはいかないと、短い時間ながらお話が出来たことに喜びをかみしめた。アルセラさんがマシンの前に立ってコーヒーを淹れる所作を自分の席から立って凝視、もう変態の域やね。ずっと動画で見て来た動きが今目の前で再現されていることに興奮を覚えずにはいられない。やがてサーブされたアルセラさんのコーヒー、いつも見ているアルセラさんテイストのアートだった。ちなみにここにもスタッフの女の子の気遣いがあり、朝一度店に来ていたことを伝えてくれたのだろう「This is on him.」と言ってコーヒーを出してくれた。もう君に100万イイネあげちゃうわ。もう一人のバリスタさんは腕がいいのだろう。おそらく基本的にはその人がヘッドバリスタを任されていて、アルセラさんはプロモーションやバリスタをトレーニングするとかで色々世界を飛び回られているみたいなので、今回会えたのは本当にラッキーだった。

後日、本店と支店には1回ずつ足を運んだけど、やはりどのタイミングでもBAZZARのカフェラテは美味いし、支店ではリッチに料理を頼んだこともあったけど、これもまた満足のいくものだった。ちなみにこの旅でここまで3千里もこいでないんですけどね。アジア編含めせいぜい1500里(約6000km)くらいでしょうか。まあそこは大阪名物「話を盛る」ってことで。(盛りすぎ)

さて、次回はデュッセルドルフの街についてと、いよいよカウントダウン迫るニュージーランド行きへのゴタゴタの始まりについて書こうと思います。


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