top of page

赤と白に漬かること1カ月【前編】


もはやクリスマスという日はキリシタンの国だけの文化にあらず、日本も当たり前のように毎年騒がしくなるし(実際楽しんでいるのは子供と若いカップルくらいかと思うけど)、バリバリの仏教国であるタイでさえスーパーマーケットのお姉ちゃんはサンタ帽やトナカイのカチューシャを着けていた。とはいえ、本場の国でとなるとやはり気合の入り方が違うよう。ここニュージーランドはもともとマオリ族を中心とした先住民族が暮らしていたが、近年イギリスをはじめとした欧州系が移住してきて、今ではKIWI(ニュージーランド人の愛称)達の顔つきの多くは欧州系、次いでマオリやアジア系の移民といった状況で、現存する文化も必然的に欧州文化が先行しているのである。長年この行事から遠ざかっていた僕が、この1カ月は何かと「クリスマス漬け」になっていた模様をご紹介しようと思います。

始まりはハグレーパークで行われたクリスマスをテーマにした野外音楽フェス。11月終わりの開催だったのでこの時点で気が早い。音楽はポップスばかりで好みではないが、地べた寝転んでおつまみ広げて酒飲みながら、みんなでダラダラ鑑賞というのも悪くない。

続いて体験したのは「サンタパレード」。地元の市民団体の山車を始め、移民の多いNZならではで、インド・中国・日本..etcと国別のコミュニティからの参加もあり、決してお金がかかった派手なパレードでは無いが、そのローカル感がかえって愛らしく、初めて見る分には十分楽しめる内容であった。

(サンタパレードというから、てっきりサンタの格好をした人がいっぱい出てくるのかと思ったが、パレードではサンタは一人だけで大トリとして出てきました。「ランドにネズミは1匹しかいないの!」っていうのと同じ話ですね。パレード後、サンタは飴玉が欲しい子供たちに囲まれていました。)

そのパレード中に思わぬ面白い出会いが。「自転車愛好会」的な団体の中に、僕のような荷物を積んだ自転車旅行者が参加していたのだ。しかも見た目からしてどうやら日本人のよう。細かい話は省略するが、パレードの翌日にその男性と対談する機会を得た。その彼、西川君は自転車旅こそが生業の一部であり、教師という肩書を持つ彼は日本でつながりのある学校の生徒達と、旅先で知り合った現地の人が、インターネットのスカイプを通じて異文化交流をする授業のオーガナイザーの役割をしているそう。思えばNZに来て5カ月、同年代の日本人と話すのは初めてで、しかも自分と同じ自転車旅行者ということもあり、興奮しないはずがなかった。

西川君の繋がりでその夜は自転車愛好家達の小さなパーティーにもお呼ばれして、ご隠居みたいな暮らしをしていた僕にとっては久々若者らしい(?)休日を送り、またこれをきかけに交友関係も広がって、NZライフはさらに楽しくなりそうな予感がする。続きは長くなるので後編へ。

おまけの写真を少し。

(上:地元の大学で開催されたクリスマス・クラフト・マーケット。手作り作品がたくさん並び、一緒に住んでる家族へのプレゼントを購入。 中:暦の上では夏というのにヒョウの嵐が降って来た。翌日の新聞の見出しに"The Dreaming of White Christmas"「ホワイトクリスマスを夢見て」とあり、その下には" But that's not sign that Santa comes"「しかしサンタの来る知らせでは無い。」と旨いことが書かれてあった。 下:パレードで一番衝撃的だったのがこの妙なバランス感のキウィ※だったりする。 ※NZの象徴でもあるネイティブの鳥。)

ダメ押しでもういっちょパレードからの動画。なにせアイリッシュミュージック好きなもので。


bottom of page