その無垢なる水色に誓いを
Tekapoテカポという星空観察で世界的にも有名な場所に「旅行」に行って参りました。わざわざ「旅行」と強調したのは自転車の登場は一切無く、全て車での移動で、2つの家族たちと行くほんわかとした旅であったからです。みなでワイワイとする旅はそれはそれで楽しかったし、それを味わいたくて着いていったわけですが、やはり自転車に乗りたくて終始一人でウズウズしている自分もいました。アドベンチャーも無く書けることも少ないので写真を中心にご紹介します。
クライストチャーチからテカポまでは約200km。途中休憩を2度挟んで4時間ほどでテカポに到着。テカポにはもう一度自転車で来る予定なのでドライブの間は「この道は走っていて気持ちよさそうだ」とか「あそこにキャンプ場があるな、あの辺なら野宿出来そうか」と一人でそんなことばかり考えていました。200kmの間に何人ものフル装備で走るサイクリストを見かけてはその度にジェラシーの溜息を漏らしていた、もう阿保とでも何とでも言いやがれ。
テカポに行く1週間前からずっと天気予報ばかり見ていたのだが、当日のそれは思わしくないもので、着いたころにはすでに空は白い雲に包まれていた。今回、自転車という楽しみが欠落している中で僕が一番楽しみにしていた星空を観察、撮影するという最大の目的は、夜も変わらず雲り続けた天候により達成することは出来ず、少なからず肩を落としていた。
(深夜になってお月さんは見えたのですが。)
2日目、テカポ湖周辺から山道を車で駆けのぼっていくと、Mountain Johnという山の山頂にAstro Cafeというカフェがあるので皆でお茶しに行くことに。山頂の駐車場に着き、車を降りたその時、湖と反対側は今まで見たことのないような赤茶けた大地が続き、それはまるで別の惑星に来たような感覚を覚え、その向こうには低い虹がかかっていた。この度、星空を見ることは出来なかったが、その無垢な地球の景色に心が救われた気がした。また反対側の上から望むテカポ湖も澱みの無い透明な空気に満ちていてそれは美しかった。
この日のメインイベントはTekapo Springsという温泉施設に行くこと。ここは日本のような静かな温泉と違い、プールやウォータースライダーがあり、一緒に来ていた子供たちは鼻息を荒くして楽しみにしていたようだ。まあ大人はゆっくり温泉にと思っていたのだが、僕は終始子供たちの遊び相手として逃してもらえず、1年ぶりとなる熱い湯船にゆっくり浸ることは出来なかったのだ、トホホ。(もちろんそれなりに湯船にもつかりましたが。しかし$60とはなんたる貧乏旅行者破壊的値段設定、日本なら泊まって飯まで食えるわと言いたい。)
これでテカポとはお別れする時間がやって来たのだが、皆がトイレに行ってる間、僕は一人テカポ湖のほとりへ向かう。湖の前に立つと、その淡い水色に心が澄んでいくような気がした。必ずまたここに来るから、そう湖に誓い、僕は車へと歩き出した。
一緒に住んでいる人たちの友達家族が日本からやって来て、1週間ほど彼女たちとこの旅行も含め生活を共にしたのですが、とても居心地の良い人たちで、遥か遠くのNZの地に日本の風を少しばかり届けてくれた気もして、あっという間に過ぎた楽しいひと時でありました。ありがとう、また日本でお会いしましょう。