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草花たちと暮らすこと


以前に書いた「植物ネタ」のその後の話。南半球のNZでは12~2月は暦の上ではサマーのはずが、僕の住むクライストチャーチはうなだれるような暑さに見舞われることは少なく、日差しは強いものの、気温や湿度は日本のそれに比べるととても過ごしやすい。あえて例えるなら北海道の気候に近いかもしれない。それが理由で庭の野菜の成長スピードは非常にのんびりで、10月末に植えた夏野菜の苗は、2月半ば過ぎになってようやく収穫期を迎えることになりました。病気や虫たちにやられることなく、よく育ってくれた。待ち遠しい時間は長かったけど、健康に育ってくれた理由はこの穏やかな気候のおかげだろう、畑を観察していて虫の数は多湿高温の日本に比べて圧倒的に少ない気がした。

植物を育てるという趣味は、気を長く持たなければならない。何でも素早い結果が求められる時代においても自然の摂理は変わらない。毎日仕事から帰っては庭へ行き、昨日より大きくなったかなと野菜たちの様子を気にかける。休みの日は伸びすぎた草をとったり、肥料や支柱を施してやる。雨の日は人間にとって何かと面倒だけど、植物にとっては恵みなのだろうと考える。そして僕はまた庭に出る、青々と天に伸びるキュウリの木を眺めている時、僕は小さな幸せを感じている。

そんな愛おしい日々を過ごし、ようやく成ったトマトやキュウリたち。決して食べることは出来ない茶色の土から、植物たちは何かを摂り入れ、私達の食べることの出来る果実となり、それをいただく。これはとても不思議で神秘的なことである。土はさながら宇宙に通じてもいるようだ。長い時をかけて育った野菜たち、美味くないわけがない。僕は生かされている、有難いよね。

(この愛しき大事な野菜で何を作ろうか思いを巡らせてる時間も)


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