踊れる阿呆になりたくて
南米・パタゴニア旅を先送りにし、NZに残るという決断をしたのが先月の話。とうとう今の職場に来て半年が経ちました。出来る仕事の幅は働き始めた時に比べて確実に増えているし、僕は変わらず一心に仕事に向き合っているのに、この1カ月は心のざわつくことが多かった。おそらく日本人の生真面目さゆえのストレスであると思う。ここまで言ってなんだが、このウェブサイトは僕の同僚も見てる可能性がある。今やクリック一つでページまるまる翻訳される時代。この前試しに自分の文章を英語翻訳にかけてみたら、思ったより意味が通っていた(もちろん機械翻訳なのでおかしな翻訳も中にはある)。実は今回珍しく愚痴を書こうと思っていたのだが、そういう理由もありやめておく。
ただ一つ言えば、日本人という民族は大部分が生真面目な性格で、黙々と働くことが当たり前と思っている。日本で働いている分には周りも必然的に日本人で違和感を感じるはずもない。しかし海外で、違う民族の方々と日本式の働きを続けると、時にストレスを自分で生み出してしまうこともあるようだ。状況を改善するためにどうすればいいか僕は思案を続けた。直接意見を発信し、改善を求めたこともあった。コミュニケーション不足も大きな原因だ、まだ自分には普段の会話スピードについていける英語力は無い。話す機会が少ないから一人で黙々と働くことを選択する。しかし心に溜まるものを吐き出す場所もなく、また苛立つという悪循環。苛立ちを覚えるというのは、自分の心のフィルターに引っかかるからで、その目を粗くしてやれば、思うことは少なくなる、もっと楽に生きることが出来る。僕は普段の生活でも、旅先でも、どこかで損得勘定をしている節がある。それは人間だから当たり前なのかもしれない。しかし究極は「あげっぱなしで良い」と感じられるくらいになりたい。僕は決して修行僧でもなければストイックさの欠片もないが、もっとこう、仏様のような心のように、変な言い方をすれば、「いい感じの阿呆」になりたい。その方がもっと色んなことが楽になるし、その空気は周りの世界をも柔らかく包むことだろう。
「人に優しく」
僕は一つ、心にその言葉を秘め、1日1日、心を柔らかく保ち、仕事に取り組んだ。
(2011年2月22日、クライストチャーチの地震から5年の時が経ち、その日は献花されているのを道で度々見かけました。3月11日は東日本の地震から5年。あらためてご冥福をお祈りします。)
すると、ここ2日くらいのことだ。この1カ月感じていなかった、清々しさが感じられた。苛立ちはもはや無かった。自然と言葉が出てくるようになっていた。事実、マネージャーからは「ユースケの英語はpretty goodと思うよ」と言われ、カフェで働き始めて1、2カ月の女性にも「私がここに来た時に比べたら、良くなってるわ」とも。もちろんまだ自分で納得できるレベルには全然達していないが、言われた通りの良いフィーリングは確かに感じていた。学校に通っているわけではなく、仕事終わりに勉強の時間をいつも作れるわけでなく、その中でも合間を縫って、また普段の会話から拾うなどして、本当にそれは微々たる塵がつもるようなものだが、半年前を振り返れば確かに成長は感じている。コーヒーを淹れる技術も然り。最近バリスタとしてのポジションが少ないため、実はそれが一番のフラストレーションの原因だと思うのですが(え、くだらない?)、マシンに触る度に気付きと発見があり、技術が改善されるのを感じている。英語は全く他の同僚にかなわないが、コーヒーを淹れる技術に関しては負けてるつもりはない、もちろんバリスタとしてもまだ未熟であることには変わらないけど。
(上:雨上がり、大きな虹が出た。
下:僕の気持ちが上がらない間、お家のネコさんも調子を悪くし、病院で手術を受けたのだが、彼は元気に返ってきた。おかえり!)
どうせなら1日1日何か小さなことでも学びたい。そう感じるために真面目でありたい。そうでなければここに残る意味は無い。それは仕事だけでなく、旅先でも、日本でもそうだ。毎日が学びの場、そう考えたら1日1日はなんて素敵なんだろうと思う。まあそんなこと言いながら、コソコソとサボってるんですけどね。てゆうかサボらずやってられるか、何真面目ぶっこいとんねん、お前はただのアホんだら!
(庭に時々ヒョコっと現れる Hedgehog ハリネズミ。機敏さはまるでなく、のそのそと移動し、この前は壁と下駄箱の間に挟まって身動きがとれなくなっていたなんとも鈍くさいやつです。)
というわけで面白くない話はここまで。3月の半ばから3週間のお休みをいただき、久々「本気の自転車旅行」に出かけます。旅する場所はもちろんニュージーランド、南島の魅力あふれる大自然を自転車で満喫します。大よそのルートはすでに決まっており、今から荷造りを始めています。ずっと温めていた企画なので、興奮は今最高潮です。次回の記事からは旅の模様をお伝え出来ると思いますので、どうぞご期待下さい。
(1枚目:愛用していたスノーピークのテントも購入から10年近く経ち、ついに買い替え。少し重くかさ張るけど、中が以前よりも広くて快適そう。写真映えするかと思い、明るい色にしたけど、考えたら自転車旅においては目立たない色の方がいいんでしょうね。まあなんとかなるべ。
2枚目:自転車とキャリアを繋ぎとめる「ダボ穴」が折れてしまったけど、こっちの知り合いの溶接工さんが見事にくっつけてくれました。
3枚目:今年の10月からスをタートするであろう南米編の妄想も今から始めている。ペルーからアルゼンチンのウシュアイアまでgoogle mapで単純にルート検索すると7000kmと出てきました、ほほお。
4枚目:珈琲を嗜みながら走るルートを検討中。NZならではの自然に触れ、これまでにないもっと自由な旅になりそうな予感です。うーん楽しみ。)