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終わりから始める楽しさを Biking in NZ 1


よく知られたことかもしれないが、ヨーロッパの友達によれば、彼らは年に1カ月程の長期休暇を取ることは実際に一般的だという。ニュージランドは原住民のマオリの文化を大切にしているとはいえ、世の中の流れは白人の作ったもの。僕の職場でもやはり同僚たちが長期の休みを取ったり、大学で勉強したいからと週5日を週2日にしたりとみな自分のやりたいようにやってるし、要請したけど断られたという話も聞かない。南米行きの予定を1年ずらし、こちらの滞在を延長したのと同時にムクムクと膨れ上がったNZ自転車旅行の夢。もしかしたら言えば僕だって休みをもらえるのか?相談してみるなり、2つ返事で快諾された。信じられないね、帰ってきて本当に仕事あるのか日本人的には心配になってしまう。とにかく僕は3月の半ばから4月の始めにかけ、3週間の自転車旅行を敢行。結果から言えばこれだけ幸せな21日間を過ごすとは予想しただろうか?何度かに分けて旅の模様をお伝えしていこうと思います。

(今回自転車で訪れた場所を示しました。右側のグリーンは出発地Oamaruで、左側のブルーが終着地のQueenstown)

NZの国土は日本の3分の2ほどあり、自転車で3週間で周ろうなど無理な話。今回フォーカスしたのは南島のハイライトであるサザンアルプスを経由し、最終目的地をクイーンズタウンに設定。日数も限られてるのだし、出来れば初日から自転車旅を楽しめるルートプランを練ってみた。NZにはいくつもの「サイクルトレイル」と呼ばれる自転車に特化した道がオーガナイズされていて、その中でも今回の旅にマッチしたのが「Alps 2 Ocean」というトレイルのよう。クライストチャーチから南に位置するオマルーという街に向かうバスへ乗り込むことからこの旅は始まった。

バスに揺られて3時間、降りた先で自転車を組み上げていると、何人かの乗客たちが話しかけてきた。これからたくさんの人と出会い、会話をすることだろう。この旅に求めることは多い。さてどれだけ達成されるのか、胸は高まるばかりだ。久々に見た、6つのバッグが備わったずんぐりむっくりの我が相棒。バランスを失わないよう気をつけながらゆっくりとペダルを回す。うん、フィーリングは悪くない。

オマルーはチャーチと同じく東海岸に面している。思いの他街は大きく、ヨーロッパ風の石造りの古い建築物が多く見られ、エリアによってはギャラリーやお店など、観光客向けに開かれているが、そこまで人でゴミゴミしてるわけでもなく、宿に荷物を下ろした後は自転車で散策を楽しんだ。その中で個性的な古本屋さんを見つけ、そこは本だけでなく雑貨も扱っており、良い具合のコーヒーカップに一目惚れして、すでに2つ持ってきているのに、早速荷物を増やすこととなった。購入したカップは使い勝手が良く、この旅の終わりまでそのカップしか使わなかったほど。

海岸に赴けば、これから僕が旅する"Alps 2 Ocean Cycle Trail"の終着地であるモニュメントが。そう、このトレイルは名の通りMt.Cook周辺のAlps側から旅を始め、Oamaruを終点とするOcean側に向かうことを推奨されている、なぜなら道が下り基調だからだ。しかし僕はこのトレイルを越え、さらに西へ行ったクイーンズタウンを目指している。つまりこのA2Oを推奨とは逆の方向で旅しようというわけだ。そうなると当然、登り基調。さらに人口の少ないNZだから必然的に食料を手に入れるための集落も少なかろう。8カ月ぶりとなる自転車旅、五感を働かせ、無事に、もちろんフルにこの旅を楽しんでやるのだ。終着地点で喜ぶ熟年サイクリスト達を横目に、不安より好奇心が遥かに勝っていた。終わりから始める方がどんだけ楽しいのか分かってんのかー!

この日はオマルーのユースホステルにて1泊。いよいよ翌日からサイクリングを始めます。

(オマルーではユースホステルに泊まった。小さい宿だけど管理人の女性は穏やかで、温もりある空間だった。オマルーはペンギンの観測地としても有名、観測施設で自然のペンギンを見ることが出来るらしいが、どうにも動物園で見るような、エキサイテングに欠けるように思う。自然で偶然的に見たくて夕方海まで探してみようかと思ったけど、前日荷造りで3時間ほどしか寝ていなく、体力限界でベッドに沈み、結局ペンギンを見ることは無かった。)


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