この美しき森の中で Biking in NZ 9
Wanakaに来た目的は、ここに住む日本人の知り合いに再会することが一つと、自然の美しい場所と聞いているので合わせて楽しみたい。 ここに着いた当初はイースターで、街の中心は人でごった返していたのだが、5分自転車を走らせれば人も建物さえも無くなった。その日の夕方、友達のフォンジョ氏(変な名前ですが日本人です)と再会し、Lake Wanakaの夕暮れを見ながら酒を飲み交わした。その翌日は同じキャンプ場に泊まっているデニスと出かけたり、街に近いところを散策してリラックスな1日を過ごす。
(Wanakaのハンバーガー屋さん「Red Star」ボリューム満点で、ハンバーグからはジュワッと旨みと肉汁が溢れ出て、最高に美味でした。Queenstownに「Fergburger」というツーリストに人気の超有名店がありますが、僕の感想ではこっちの方が断然旨い。)
そのまた翌日、フォンジョが是非僕を連れて行きたいというトレッキングルートがあるというので、彼の車に乗り込み湖を北へ。湖を離れるとさらにオフロードの道を1時間走り、途中何度も激しい水しぶきを上げながら小川を乗り越えるワイルド・ドライビングの末、我々はトレッキングコースの入り口にたどり着いた。失礼承知で、見た目からして年代物のオンボロな友の車で、よくまあ壊れないものだと感心する。
すでに周りは、大きな山々が我々を見下ろすように聳えている。歩き出してすぐに道は森の中へ侵入すると、胸はたちまちときめいた。緑濃い湿潤な森の中は、至る所から湧き水が漏れ出し、水が伝う苔は宝石のように煌めいている。NZを象徴する幾種類ものシダは、気持ち良さそうにその葉を悠々と広げ、鼻から深呼吸する度、その清く瑞々しい薫りに体中が浄化されていくようだ。ドライで茶けた山ばかり見ていただけに、この湿度の高さは新鮮。森の中を歩くという、言葉にしてみたら単純な行為なのに、僕は至極幸せな気分に包まれていた。
2時間くらい歩いただろうか。視界が開け、トレッキングの終点に到着。上の山には永久凍土と思われる冷たい水色の氷の層が見えている。運転をしてもらったので、せめてのお返しにと、朝作ってきた手作りサンドイッチと、その場で淹れるコーヒーでランチタイム。太陽が雲に隠れると風は冷たく、食べ終えるとそそくさと元来た道を引き返した。
山道を歩きながら、僕たちはお互いのことについてたくさん語り合った。NZに住むと決めた彼のプロセスや、言葉の苦労、普段の生活や趣味、恋愛、お互いの身の振り方についてなど様々。フォンジョとはクライストチャーチで知り合い、今回会うのが実はまだ2回目。それにもかかわらず僕たちは旧友の仲のようで、デニスも然り、旅は人と人を寄せる引力を秘めているのだろう。お互いの健闘を讃え合い、再会を誓った。 Good Luck & Enjoy Life.
次回、クイーンズタウンに向けて最後のひと踏ん張り。