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水と川とトゥルーチャと "Rio,agua,y trucha"


After leaving Tanta,we aimed to Huancaya. Road construction has progressed,so single track decreased to just 2km(But you may have to get permission from construction crew to pass route.Village of "Vlica" has incredibly beautiful river scenery,it's "cascade".And we enjoyed deep fried "Trucha"(kind of fish that lives in river).After Vlica we climbed little bit,but didn't matter. We've got stronger and altitude tended to be down.We ended up getting to Huancaya that is touristic city and there are some accommodations and restaurants. PGD continues to Huancavelica,and Alex and Maery seemed to stick it.I decided to escape from it and wanted to be back to main route that has more village.Next day,we greeted each other and said "see you again." I couldn't come here without them. I've studied a lot from them and really appreciate. I hope we can go safely and get more experiences. Thanks,Alex and Maery!

妙なるすれ違いは朝から始まった。3人とも同じ時間に起きて、メアリーとは挨拶を交わしていたのだけど、気が付くと2人共荷物を残して姿が無かった。きっと広場にインターネットしにいったのだろう。それにしてもちょっと一声欲しかった。やがて2人が帰ってきてパッキングをゴソゴソと始めた。僕はすでにまとめて食堂で朝ご飯を食べるのを楽しみにしている。昨夜は宿の奥さんが肉無しで炒め物を作ってくれて、アレックス曰く「今朝もそうしてくれるらしいよ。」と言った、はずだった。2人は次に自転車にカバンを据え付けだす。後ででいいんちゃう?と思ったが、僕も彼らに習ってそうした。そしてアレックスは言う。

「ユウスケ!もう出発できる?」 「え?朝ごはん食堂で食べるんでしょ?」 「え?俺達もう食べさせてもらったよ。ああゴメン、なんか勘違いしてたわ。いいよ、俺達広場でインターネットしてるから食べてきなよ。」

「???」

え、なぜ僕が起きてるの分かってるのに声をかけてくれないの?食堂に行くと奥さんが待ち構えていたように、席に座って1分もしないうちにご飯が出てきた。バタバタとそれを口にかき込み、熱々のコカ茶を急いで飲んでる頃、アレックス達が帰ってきた。残りのパッキングをして出発準備を急いでると、

「大丈夫?出発できそう?」

と急かしてくるので、僕は宿で一つ「やりたいこと」が出来ずに出発することとなった。

走り出してしばらくモヤモヤした気持ちが消えなかった。なぜ呼んでくれなかったのか?それでいて急かされて、なぜこちらが申し訳ない気分にならないといけないのだろう?宿でやりたかったこと、実はPGDに入ってから4日ほど便意が無かった。もちろんルート上にトイレなど無ければ、緊張感もその理由だろう。やっとまともなトイレがあったから、解放しておこうと思ったのに、出来ず。そして走り出して便意がやって来てしまった。小なら言えても大は言い出しにくいなあ・・。しかし言うてもいられなかった。メアリーがメカトラブルでストップした際「ゴメン、トイレ行ってくる!」と勢い良く言って、紙を片手に斜面を駆けた。大地に残ったそれを見て、なんだか妙なる神秘的な気分になる・・。動物の糞は土に還るが、人間のそれは添加物の摂取により土に還らないのだ、と山の漫画で見たことがある。「申し訳ない。」大地に謝り、周りの石を被せて僕は自転車に再び跨った。

朝のことは時間と共に忘れていくけど、知り合ったばかりの他人と寝食1週間も共にすると、いくつかの場面で価値観の違いなどが生じてくるように思えた。僕たちは基本的に気が合うし、楽しくやってるのだけど、ずっと一緒のままではいられないなと感じた。食べたいものを食べたいし、休みたい時はゆっくり休みたい。1人旅は不安もあるけど、そういう気楽さが魅力的なのだ。あとこれは完全に文化の違いだが、僕がそばにいても1日何回だってチュッチュしたり、ハグしたり、それもいい加減気になりだした頃だった。とはいえ彼らがリードしてくれたから、この険しい道を走ってこれた。旅の知恵や、メアリーのスペイン語など、たくさんのことを彼らから学び、感謝はつきない。

TantaからVlicaに向かう道は、道路の拡張工事中で、本来通っていいものか僕にはわからなかったけど、作業中のトラックやダンプカーの間を通らせてもらい、時に掘り返したデコボコの道の中を渾身の力で自転車を押し進めた。"Andes by Bike"のPikes夫妻によると、Vlicaの手前7kmは「シングルトラック」というMTBが走るような細い山道のようになっており、その区間はほとんどサドルに跨ることは出来ないらしい。しかしPikes夫妻の投稿から月日は経ち、拡張工事によってシングルトラックは1~2kmまでに縮まっており、元々自転車を押してばかりの僕たちにとってはほとんど何の問題さえ無かった。 この日も渓谷の山肌の道をずっと走っていたのだけど、景色が素晴らしく、写真が好きなメアリーはよく止まりがち。荷物は男のアレックスが多く持ち、メアリーは最軽量のはずだが、やはり女の子なので僕たちよりペースが遅れる。まあその次に遅いのが僕な訳だが。Vlicaに着く直前から、いつもは優しいアレックスの雰囲気が何やらおかしい。僕たちが追いついた時、フランス語でメアリーに何やら言葉を浴びせていた。

「アレックス、何か怒ってるの?俺達が遅いから?」 「うんちょっとね。・・・。」

その後メアリーが言ったことは分からなかったが、その1分後にまたアレックスが振り返ってメアリーに何か言った途端、メアリーを包むオーラが変わった。サングラスをしてるから分からないけど「泣かせたな。」と思った。それに気づいたアレックス、コロっと態度を変えて、肩を抱いて必死に彼女を慰め始める。その2人の様子を見て僕は、

「もう、どうっでもええわ(笑)」

と嘲笑い、道の脇にいた羊の子供たちの写真を撮っていた。

(2枚目、Vlicaのカスケード。この風景を見たかったのだ! 3枚目、まーた、いちゃついとる!)

Vlicaの食堂で名物のTrucha(マス)を食べることにした。メアリー、魚は食えるらしい。仲直りした彼らは食堂で多数のペルー人がいる中、たくさんのハートが視覚化するほどベタベタしていた。しかしこれ以降、朝からモヤモヤしていた3人の淀んだ空気は晴れ、僕たちはトゥルーチャのから揚げに舌鼓を打った。

時刻は午後3時を回ったが、僕たちは20kmほど先のHuancayaという町を目指すことに。Huancayaこそ僕がPGDを走りたいと思った所以の風景がある。しかしすでにVlicaにもその風景は存在し、多いに感動したが、Huancayaの方がツーリスト向けの町で、ゆっくり休みをとれると思ったからだ。

全体的には標高を下げてていくのだが、まだここにきても峠の登りが。酸素は若干だが濃くなってきたし、数日間で高地にも少し慣れたのだろう、押してでは無くペダルをこいで僕たちは坂を登った。Huancayaの広場に着いた瞬間僕たちは叫ぶ。

"We did it!(俺達、やったぞ!)"

(1、2枚目、さすが日本人?魚の食べ方はフランス人達よりうまかったです。

 3枚目、食堂で仲良くなったペルー家族。娘さんが誕生日だったみたいで皆で祝いました。)

これが今回、彼らとの最後のペアランとなった。PGDはまだWancavelicaまで続き、彼らは交通量の多さを避けるために進み続けるようだが、その道は険しく何度も5000m近い峠を越える。僕はもうこれ以上高地でキャンプをしたく無かったし、延々と峠で自転車を押すのも正直懲り懲りだった。Huancayaから北へ伸びる道を行くと、やがて大きな町が続くルートに合流する。僕はやっぱり体育系サイクリストにはなれないな。キャンプは多くても3日に1日、シャワーは浴びたいし、応援してるサッカーチームの試合結果も知りたいし、ペルー料理だってもっともっと食べてみたい。ヘタレにはヘタレなりの楽しみ方がある。しかし、この道は彼ら無しでは絶対に走りきることが出来なかった。お互い助け合ってはきたけど、やはり感謝の思いは尽きない。今後の目的地はいくつか同じなので、また道の上で再会したり、そうでなくてもフランスや日本のどこかで僕達は会い交えるだろう。忘れられない10日間だった。アレックス、メアリー、ありがとう!これからもお互い気を付けて、良い旅を!

翌朝彼らの後ろ姿を見送り、僕はここHuancayaをしばらく楽しもうと思う。


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