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余韻は食後のデザートまで "Sweets After Meal"


厳しい山道国境越えから一夜、今日も先を進む。アルゼンチン国境施設の広場は旅行者向けにキャンプ場として開放されている。キャンプ場といっても本当にただの広場、トイレは森*、水は湖から、でもこれ以上望むものって何もないんですよね。キャンプ場としては究極の形。そして周りを囲む自然が素晴らしい。ピッチでは野鳥が歩き、馬はのんびり草を食む。すぐ前を澄んだ美しい湖が向こうまで広がり、その先にはパタゴニアのシンボル "Mt.Fitz Roy (フィッツ・ロイ)"が堂々と鎮座している。Villa O'Higginsからの国境越え、そしてこの先のEl Chaltenまで1日で一気に行く人もいらっしゃるようだが、このキャンプ場も、この後の道も大変美しいので時間があるなら2日かけていくことをお勧めする。

さて、もう一つの湖もフェリーで渡る。自転車と荷物をフェリーで運び、人間は湖沿いのトレッキングルートを向こう岸まで渡ると若干安く上がるらしく、NZカップルとコロンビア人のホセはそうしたが、これ以上余計にアドベンチャーを増やしたくないのでフェリーで楽々移動を選ぶ。それにしても昨日と今日2回のフェリーだけで1万円近い出費、高すぎじゃないだろうか?しかし昨日の湖は暴風で荒れやすく、乗組員だって命がけだからそれに払う対価としては高くないのかもしれない(これからも無事故であることを願います。)このルート以外でパタゴニアを南下するには、アルゼンチン側の、毎日暴風吹き荒れる荒野を行くしかなく、それなら多少お金がかかろうと景色の良いこちらの道を選ぶに決まってる。

向こう岸にたどり着くと目指す町 El Chalten (エル・チャルテン) まで36km。さっさと走り切って町に着いたらシャワーを浴びてゆっくりして。。そんなことしか考えていなかったのだけど、走り出すと巨大なギザギザした山、日本だったら観光名所になるようなデカイ滝に、道の向こうに見えるフィッツ・ロイは進めば進む程どんどん近づいて見えてくる。美しい自然にバックバクと心臓は高鳴り、アドレナリンが血液の中を駆け巡る。アウストラル街道は終わったはずだけど、なんだかまだ続きにいるみたいだ。メインディッシュは終わったけど、デザートまで小粋でお洒落とはね。

ガイラ・アンドリューと一緒に走っていたんだけど、彼ら追い風に乗ってグイグイ進んでいくばかりで、ゆっくり景色を見ながら走りたかった僕はとうとう追いかけるのを諦めた。だってもったいないやん、こんな素晴らしい道をじっくり味わないなんて!昨日も途中で置いてかれたので、何も言わなくても大丈夫だろう。結局、エル・チャルテンまで彼らに追いつくことは無かったのだが、後から聞いたら僕がついてこないから心配していたらしい。そうやったの、めんごめんご。

(道はアウストラル以上に悪くて、程々にウンザリさせてくれます。)

エル・チャルテンと言えば、フィッツ・ロイのトレッキングの拠点の町。明日向かう山の向こうの空は龍が舞うような夕焼けが広がっていた。胸は高鳴るばかりだ。


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