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空っぽの心と黄昏れの海


I've come to Melbourne,Australia.The purpose is not for cycling,it's to enhance my coffee experience and something more.Aperently,Melbourne is called "coffee capital", many well-quality cafes and restaurants gather here. In this time, I used "Working holiday visa" as well as I did in New Zealand and of course,looking for Barista or any related job with coffee.However,before leaving Japan I've lost my motivation and confidence for everything.That's because I finished my big journey once and was worried about my future.One day I wanna start my business,but don't have firm confident to keep running my business because I'm not clever and my career is also poor.Once I got Barista job soon,but quit just in a week.I couldn't fit myself to super busy environment.After that,I was thinking near future and thought better to try other kind of job and get skill for my long life.That means I should go back to Japan because there was no reason to stay in Australia anymore.But at this summer season,Japan was facing horrible hot temperture.I thought maybe crazy summer would make me more panic.I tried to think again and finally decided to find job again in Melbourne. I got new Barista job and already started.I've been feeling nice and getting motivation little by little.Get back confidence and more experience will make my life better,I hope.I don't think long time in Australia,but want to fit and enjoy.Sometimes will post how my living going and few photos.Bicycle? Of course! I have same my bike here!

早いものでオーストラリアに来て一月半が経とうとしています。ここらで一度これまでの動きをまとめたいと思います。

さて、まずはこの国に来た目的から。今回は自転車旅では無く、ニュージーランドでもそうしたように「コーヒー」にまつわる経験・見聞を広げるのが目的であります。年齢的にラストチャンスとなる訳ですが、この度もワーキングホリデーという魔法のビザを使って現地で働かせてもらおうという算段です。

しかし困ったことに、自転車旅という目的が一段落してから、自分の方向性というものが分からなくなっていました。旅の後は仕事の経験を広げて、自ら開業・・と考えていたのにやる気は一向に上がりません。しかし時は待ったなしで、オーストラリア行きの日が来ました。

さて、降り立ったその場所はMelbourne (メルボルン) 「コーヒーキャピタル」とも呼ばれる、世界で見てもカフェ文化が盛んなコーヒーの街です。

向こうに着いたら心も動くだろう、と他人事のようにひそかに期待をしていたものの、僕の心は真冬の落葉樹の如く、寂しく空っぽのまま。安宿の相部屋には窓が無く、無機質な蛍光灯の下でボンヤリしていると一層鬱っぽさが増してしまうようだ。

これまで自分のやりたい事に素直に生きてきたし、いつも何かやりたいこと"want"が心の中にあったのに、

「今俺は何がやりたいのだろう?」

と考えてみると、見事に何もなかった。あれだけ好きだったコーヒーさえ、興味がわかない。日本に帰って寝たい・・でもそのあとは・・?この状況には自分でも戸惑った、かつてここまで落ち込むことは無かったし、パソコンを開けば「人生 やる気ない」と検索してみる始末だ。しかし、普通に生きてる人たちだって悩みはつきないのだろう。検索結果にはたくさんの励ましの声とその対策法、中には「あなたのそれはもしかして鬱の初期症状かも?」という記述も。

(1枚目、空港を降りてすぐの道。広い空、オーストラリア。新雪の上を歩くようなドキドキした気分。いくら情報が溢れていようと、初めて踏み入れる場所ではいつだって冒険なのである。 2枚目、空港から郊外を30km走るとメルボルンの中心地CBDにやって来る。このビル群見てマジでびびりました、都会苦手なんで。。 3枚目、そのCBDの中。まるで映画の中に入り込んだよう、道行く人々は様々な人種。刺激は多いが1時間もあれば息が詰まりそうです。)

いくつか分かったことは、こういう時ほど外に出たほうがいいことだ。日の光や自然の空気に触れると、気持ちが少しだけでも前を向く。自転車は本当に持ってきてよかった、コイツがいなかったら僕はもうこの国に留まっていなかっただろう。

そして無理矢理にでも人と話すこと。最初は外国人と英語で話す気力も無かったけど、少なからずいる日本人を見つけて話をする、またこれで少しずつ心が動く。心が動いてくると英語も話そうという気もわいてくる。

日本にいる気の知れた家族や友達にも溜まったものを吐き出してみる。そうすることで自分だけの悩みだったものが、他人と共有されて楽になる。(そう書くとなんか迷惑な感じもするけど、他人の悩みなんてそこまで真剣に聞いてないので大丈夫)

ボヤーっとするにも限界がある、早い話飽きる。まだ心は完全に動いてないので、今日はあそこまで自転車こいでみる、今日は気になるカフェに行ってみる、今日は銀行口座を作ってみる、今日は履歴書作ってみる、と1日1個の用事を課してみることにした。そうこうしているうちに、いつの間にかバリスタの仕事が見つかった。メルボルンに来てからまだ10日、履歴書は2枚しか配ってないのに。ゲームで例えるならHP低いのに、ゲーム後半で手に入る武器を持ってるような。経験って凄いですね。

ただしHPが低いのでむちゃくちゃ打たれ弱かった。久々にマシンに触れる!と最初こそ意気揚々と職場に向かったのだが、かつて経験した忙しさとはまた違う種類のそれで、ずーっとひたすら何時間もコーヒーばかり作らされるのである。今までいくつかカフェやレストランで働いてきたが、コーヒーメイクも調理もホールの仕事まで「オールラウンダー」として働くことが多く、ここまで一つの仕事に集中してることは無かった。顔を上げる余裕も無く、ただひたすらマシンに向き合っている。その時感じていたことは「楽しい」ではなく「しんどい」方だった。店の雰囲気やテイスト、バックヤードの汚さ、また初めて閉店時間のシフトに入った時、それに纏わる細かい作業内容も一切教えてくれないスタンスには疑問を感じていたし、何より「しんどい」と思いながら作ってるコーヒーが美味しいはずが無い。何日かトライしたが、これ以上モチベーションを上げるのは難しいと感じたし、同僚やお客さんに迷惑をかけてしまう恐れもあったので、1週間で辞退させていただくことになった。それでも同僚やボスは本当にいい人達だったので、申し訳無さもあった。

(冬の海も味わい深い。キリンジの「アルカディア」を聴きながら眺めるとグッときます。)

さて、どうしようか?珈琲の経験を積んで、いつかは開業とは考えていた。しかし今、様々な興味さえ見失っている。商売は始めるのは簡単でも続けていくことは容易ではないだろう。この状態で始めても、いや、まず始めるまでも出来ないだろう。これ以上バリスタを続ける意味があるだろうか?ニュージーランドで経験してるからもういいじゃないか?メルボルンはいい街だと思うけど、もはや新鮮味のようなものは感じられず、しがみつく理由も無さそうだった。

そんな時、日本で気になっていた会社が求人している情報を掴む。その仕事は前から興味があったが分野の違う未経験業種で、チャレンジするには勇気がいるが、バリスタ以外の技術を身に付けるにはこれからの人生に良いかもしれない。自営業はやろうと思えばいつでも出来るし、雇われの傍らでも、例えば自宅に友達を招いてカフェっぽいことをしたり、イベント出展やネットを使った小商いという形もある。ただ、就職するなら早い方がいい。もちろんどんな仕事でも自分がやりがいを持って働けるなら、珈琲が噛んでなくてもいいやんかって。そう考えるともう、この国にいる必要は感じなくなり、自然と「お、帰るか?」って気になった。阿保みたいにお金使って来たけど、来たから気付けたこともあり、これはこれできっと良かったのだ。

ここで知り合った周りの人たちに帰国することを伝えて、帰りの航空券を探し始めていた。

しかし、2018年夏、日本の暑さはかつてない程ひどいと、ネットでも連日トップニュースに流れていた。気が変わったのはいいけど、薄っぺらい思い付きプランを心ブレずに遂行していける自信は自分にあるのだろうか?おそらく暑さにやられて余計気が滅入るんじゃないか?僕は一度踏みとどまって考えることにした。数日後に出した答えは「もう一度、仕事を探してみよう。」だった。今の面白くない状況にも適応する力が必要だし、ここで少し自信を取り戻してから、日本で新たなことにチャレンジすればいい。年齢的に焦りもあるけど、もう少しはきっと大丈夫と思いたいし、確かなやる気を取り戻すことが今は大事だと考えた。

ただし、今回は軍資金が限られているので、貯金が赤信号に入る頃にはチャレンジ終了だ。 そうしてネットの求人サイトと、お店に直接履歴書を配るスタイルで、仕事探しを再開した。メルボルンには演歌の数ほど、そこかしこにカフェがあるんだけど、前みたいなテイストの違いで後悔はしたくなかったので、店選びは慎重になった。心がしんどい時は宿から近い海沿いの夕暮れが、僕の空っぽの心を癒してくれていたのもあり、海からはあまり離れたくないという欲求も捨てきれなかった。コーヒーにこだわってる店はCBDと呼ばれるビジネス街に集まっているが、都会が嫌いな僕は最初から除外した。また質の良いレストランやカフェの集まるお洒落地区 FitzRoyや Brunswick も海から離れているのでここも可能性から除外。こんな探し方だから配れても1日3~4軒、1週間でおそらく15軒くらいしか当たっていない。条件を排せば、1日20枚でも配ることは可能だが、今大事なことは「心穏やかにやる気を持って働ける場所を探す」ことだから、これでダメならチャレンジ終了でも一向に構わない。

配る数が少ないので反応はほとんど無く「これはダメかも?」と思い始めていたころ、その日直接履歴書を配りにいった店で、マネージャーと思しき男性が僕の経歴を見ながら「お前、あさって来れるか?トライアルしよう。」と言ってくれたのだ。ただ、その店のことは全然まだ知らない。店の前を通った時に落ち着いた雰囲気を感じたので配ってみただけ。トライアルの前日、コーヒーの味見と、スタッフがどんな動きをしているのか見に店へ。すると昨日のマネージャーが「お前、今働ける?今からトライアルしようや。」と。断る理由も無く、その日はキッチンで皿洗いを1時間ほどしてみる。すると・・「お前、明日もう来なくていいわ。来週から仕事呼ぶから。」ってことになった。ええのん!それで!!?って感じの採用基準なんです、こっちの人。

(メルボルンには野良猫が全然いない。猫を見たのはひと月半でたった1回だけだ。愛犬家はたくさんいるのでワンコはたくさんいるのだが。。今、僕に足らないのは圧倒的ニャンズ・パワー。嗚呼、肉球にうもれたい。。)

今これを書いてる時点で働き始めてから1週間が経った。まだ始めたばかりなので3日ほどしか働いてないが、なんとかやれている。一応バリスタポジションで働いているが、前の店ほどではないが、朝から昼にかけては本当に忙しく、頭が混乱してしまいそうだ。それでも前に一度経験していたからその忙しさは知っているし、一見ぶっきらぼうに見えるマネージャーも「ユウスケ、今日は良かったぞ。」と声を掛けてくれると、単純な僕は「次もやれるかな?」という気になるのだった。まだ精神的に不安定な部分はあるが、やる気は徐々に回復を見せてきている。バリスタだけでなくもしかしたらキッチンでの仕事の可能性もあるらしく、こっちのカフェご飯にも興味があるので不安はあるけどチャレンジしてみたい。

この間、たくさん悩んだけど、かつて後悔ばかりしていた自分の20代の生き方は無駄では無かったと今では納得している。また、いい意味でも悪い意味でも僕は誰かと自分を比べて一機一鬱していたけど、それももうやめた。自分の中で成長しているかどうかが大事なのだ。人と比べる必要が無いと感じれば生きるのが少し楽になりそうだ。

高野山のお寺で働いていた時、「空の思想」について考えることがあった。これについては少し考えた所で答えが見つかるほど単純なものでは無いけど、お寺の副住職曰く、「仏教は基本的に『欲』という考えは排除されるんやけど、密教においての『空』の考えは、『人を助けるための欲』は許されている。」ということらしい。これからの人生を僕はどう生きたいのだろう?単純に、活き活きと楽しく生きたいと思う。それは決して悪いことではなく、そのために人間は生まれてきたはずなのだ。そしてそこにプラス「人のために、時に自然に、優しく役に立ち、楽しませたい」そういう人生であったらいいなと思うし、それを軸にこれから動いていきたい。今回こっちに来た当初の自分は何もやる気が起こらなくて、まるで「空っぽ」だと思っていたのだけど、実際の頭の中は不安と煩悩が渦巻いているのだった。いつの日か僕は「空」の心理に到達することがあるだろうか?おそらく死ぬまで真の悟りを開くことは無かろうが、少しでも心は磨いていきたいと思うのである。

オーストラリアにはそう長くいる必要は無いと今でも思っている。しかし短期間でも、ここでしか経験出来ないことや見聞を広げて自分の可能性を少しでも高めていきたい。まだどうなるかは分からないけど、今僕は新しいスタート地点に立ったのかもしれない。

というわけで「さすらい喫茶」エクストラ、オーストラリア編、のんびりはじまります。時々しか更新しないので、思い出した頃にお越し下さいませ。


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